体験レポとは
本シリーズは我々STYLY取材班が様々な超常的かつ非日常的な体験をしに行き、多岐にわたる文化やサブカルチャーをお届けする体験型レポートシリーズである。
今回我々STYLY取材班は、東京都江東区に店を構える「フロートタンクスパCOCORODO」へ「アイソレーションタンク」を体験しに行った。
身近に既に体験した方がいたので話を聞いてみると、「宇宙で悟りを開いた~」などと話していた点がかなり興味深く、人間の能力拡張を目指している我々Psychic VR Labとしては体験しない選択肢は無かった。
アイソレーションタンク(フローティング)とは
アイソレーションタンクとは光や音などの外部からの刺激を遮断し人肌程度の温度に保たれた高濃度のエプソムソルト溶液に浮かぶ(フローティングする)ことで無感覚・無重力を体験することができる装置である。
ものすごく簡単に言うと人工の死海のようなものだ。
重力、五感から解放され究極のリラクゼーション状態になり身体、脳、心、気のバランスを整え普段体験することができない特別な感覚を感じることができる。
フローティングは単に不思議な体験というだけでなく、精神・肉体のリラックス、ストレス・疲労感の軽減、美容、瞑想などにも効果がある。
COCORODOへ入店
とあるマンションの一室に位置する店舗にいざ入店。完全予約制のため、詳しい所在地は予約の際に伝えてくれる。
お店に入ると和テイストの素敵な内装とともにオーナーの兼坂さんが迎えてくれた。
COCORODOはアイソレーションタンクとCBDオイル等がセットになったプランもあるため、CBD関連の商品も充実している。
兼坂さんからフローティングについて説明していただき注意事項を確認したら早速体験することに(詳しい注意事項などはHPにて確認していただきたい)。
いよいよ無の世界を体験
店舗の二階に移動するとついにアイソレーションタンクとご対面。
一見して普通に見える部屋に巨大なタンクが存在するという光景はかなり異質に感じた。言うなればGANTZ的な……。アイソレーションタンクの外観は未来感があり、かなりカッコいい。
フローティング中にストレスにならないように、まずはお手洗いへ。
その後シャワーで全身をきれいに洗い流し、しっかりとタオルで水気を取る。顔付近に水気があるとフローティング中に気になってしまうためだ。
シャワーを終えたらしっかりと水分補給をし、備え付けの耳栓をする。
もし体に傷がある場合にはワセリンや絆創膏を利用することができる。
今回、太ももの付け根あたりに傷があったためタンクに入ってすぐはかなりのヒリヒリ感に襲われた。
数分すれば痛みにもなれるが、傷口があると始めの方はマジでめちゃくちゃ痛いのでなるべく完治した状態で体験していただきたい。
軽く準備運動をして早速アイソレーションタンク内に入っていく。
今回は撮影の為に海水パンツを着用しているが、本来ならば全裸で体験することを推奨している。
準備運動をして早速アイソレーションタンクへ入ると、永遠に浸かっていられそうな温度の少しとろりとした液体が出迎えてくれた。この液体は、エプソムソルト溶液と言うらしい。
中は鮮やかなライトが照らしているが、横についているボタンでオンオフが可能だ。
早速横になってフローティングしてみる。
説明は受けたが、本当に水に浮かべるのだろうか……?
すげーーー、マジで浮いてるよこれ……もうすでに心地いなこれ……。
何も力を入れず、頭が沈むこともなく液体に浮いているというだけでかなり新感覚である。
ついに中の電気を消し、扉を閉め完全なる無の世界へ……。
始めの10分はゆったりとしたヒーリングミュージックがタンク内のスピーカーから流れる。心を落ち着かせ、体の力をゆっくりと抜いていく。この段階では初めて感じた浮遊感に慣れず少し気持ちが高揚している。
音楽が止んだ頃にはフローティングに慣れ、完全なる闇と無音の空間にいるという実感がわいてきた。
その後しばらくは自分が宇宙や広大な海を漂っている情景を想像しながら目を閉じる。
すると、だんだん体が動かなくなっていく感覚になってきた。
その感覚は、自身が石像になり宇宙を漂っている様である。ジョジョ第二部のカーズもこんな気持ちだったのだろうか……。考えるのをやめてしまいそうである。
「自身が宇宙にいる」という感覚が確信に変わった瞬間、方向感覚が失われた。
左右上下の感覚が無くなり無限に回転しながら広大な宇宙を漂っている。
上を向いているのか、下を向いているのか、自分は今目を開けているのか閉じているのか、起きているのか寝ているのかもう何もわからない。何もわからないが心地よいという感覚だけがある。
時々筋肉の反射で体がピクッと動く時があるが、その動きで生まれた水の波紋が身体の表面を優しく撫で、まるで空間の一部を纏っている様に感じられた。
例えるなら天女の羽衣のような感じであろうか。
意識と無意識のはざまでまどろんでいると、タンクの中に体験時間終了の合図であるヒーリングミュージックが流れ始めた。
意識がもとに戻り始め、だんだんと体が柔らかくなる感覚があり目が覚めてきた。
そして自力で手すりを押し上げタンクを開けて体験は終了。
体についたエプソムソルト溶液を洗い流すためシャワーを浴びて下の階に戻る。
宇宙からの帰還、のしかかる重力、そして……
下の階に戻り椅子に座ると奇妙なことに気づく。最初の10〜15分から後の記憶がまったく思い出せないのだ。体験した浮遊感や宇宙にいたという感覚は覚えているがタンク内で思考したした事柄が一切思い出せないのだ。
体験時間は1時間だったが、長かったとも思わないし短かったとも思わない。
絶対に寝ていないことは確実に覚えているが、体には寝た感覚があり寝起きに近い状態になっていた。
そして体が重い。1時間ぶりに感じる重力はいつもより重く身体に覆いかぶさる。
フローティングを終えタンクから上がった直後は地球の重力をいつもより強く感じたが少し時間が経つと、段々体が軽くなりポカポカとしてきた。
体が軽くなるにつれ疲れがかなり軽減され、頭がすっきりしている。
フローティング中に肉体から離脱した魂が還ってきたかのような不思議な感覚がある。めちゃくちゃすごい。
無重力を体験してみて
タンクの中で浮遊する感覚は未知の体験であり、自分の人生の中でも1番と言っても過言でないほど刺激的であった(体験自体が物理的に刺激があるということではない)。
完全なる「無」の中で思考を巡らせ、思考のスピードが体感時間を超えることにより「悟り」の片鱗に触れられた気さえする。
アイソレーションタンクによるフローティングは自己の意識を整理し、ぐちゃぐちゃになった頭の中のピースを整列させ、クリエイティビティを活発にするため、様々なアイデアを浮かばせる手伝いにもなると感じた。
オーナーの兼坂さんとのお話の際にも話題に上がったが、将来的にフローティング中にHMDを装着しVR世界を体験するなどのクロスオーバーが可能になったら人間の中に存在する未知の感覚を覚醒させることができる未来もあり得るのかもしれない。
防水かつ軽量化されたHMDの開発を願わずにはいられない。
<この記事を読んで少しでもアイソレーションタンクに興味を持たれた方はぜひ体験しに行くことをおすすめする。
未知の感覚をぜひ自身で体験していただきたい。
体験場所詳細
「COCORODO(Float Tank Spa COCORODO)」はアイソレーションタンクによるフロートスパを提供している日本では数少ない貴重なお店の一つだ。
話の本筋にはまったく関係ないがHPがとても見やすい。アイソレーションタンクの説明や予約ページまで、かなりわかりやすいレイアウトになっていてストレスなくサイトを閲覧することができる。
「COCORODO(Float Tank Spa COCORODO)」
・HP
・YouTube
・Tik Tok※体験する際の注意事項や予約方法などはHPで確認できます。
Edited by SASAnishiki
Photo by RIN