本シリーズは我々STYLY取材班が様々な超常的かつ非日常的な体験をしに行き、多岐にわたる文化やサブカルチャーをお届けする体験型レポートシリーズである。
今回我々STYLY取材班はARスポーツ「HADO」を体験しに行くことにした。
ARスポーツとは一体どういったスポーツなのかリサーチしたところ、チームスポーツらしいので5人の取材班で早速HADOが体験できる施設があるアクアシティお台場へと足を運んだ。
ARスポーツ「HADO」とは
HADOとは近年幅広い世代の方々に流行っている株式会社meleapが開発した新時代のARスポーツである。
開発経緯などは後述するが専用のARゴーグルとアームセンサーを装着してチームでエナジーボールを撃ち合う競技になっている。ただエナジーボールを放てるだけではなく、シールドの概念や、パラメーターの概念もあるので戦術の幅が広いのが最大の特徴だ。
早速HADOを体験
いざお店に入ると、実際にHADOを体験する試合コートへと案内された。
そこにはバドミントンコートと同じぐらいの広さのコートがあり、上部には観戦用のモニターが二つ設置されていた。観戦者には実際にはHADOが見えないが、モニター越しにHADOの動きやチームの得点を見ながら応援できるという、非常に配慮されたコート設計になっている。
ここからインストラクターの方がHADOのルール説明やシステムの紹介などを丁寧にしてくれる。まずは競技用シューズに履き替えて、実際にHADOで使用する専用のARゴーグルとアームセンサーを装着して操作方法を学んでいく。
実際に使用するデバイス
ここで装着しながら驚いたのが、使用するデバイスが「iPhone」だったという点だ。
専用に開発したデバイス等ではなくiPhoneを操作することになるので、多くの人が操作しやすいと思った。実際に筆者も操作に慣れるのは一瞬だった。
個人的な感想になるが、腕にデバイスを装着して操作するというだけでオタク心をくすぐられた。かっこいい……! 遊戯王のデュエルディスクみたいで自然と闘争心が掻き立てられる……。早く試合させてくれ……!!
ARゴーグルにはiPhoneをはめて使用するのだが、ゴーグル自体は専用のものになっている。通常のゴーグルとは違い、目の間に隙間が確保されており試合中の視界が常に確保されるようになっている。素材感にもこだわっていて、落としたりしても壊れにくい材質で作られている。
HADOのルール
「HADOはただエナジーボールを放てるだけではない」と前述したが、ルールはそれほど難しくはない。
対戦人数は1対1から3対3まで、一人一人にライフと呼ばれるポイントが4つ設定されていて、全てのライフを破壊できたら得点になり、その得点でスコアを競い合うというもの。
また、エナジーボールを撃てる弾数には限りがあり、撃てるようにするには腕をガッツポーズにしてチャージする必要がある。これを繰り返さないとエナジーボールが撃てなくなり相手に隙を与えてしまうのでこまめにチャージしなければならない。
次に、腕を下に下げるとシールドがチャージされ腕を振り上げるとシールドが出現する。これは相手のエナジーボールを防げる優れものなのだが、シールドが使える回数は限られているので考えながら使用しなければならない。
そして重要なのは利き腕に装着されたデバイスでスキルが割り当てられる点だ。
プレイヤー一人につき6ポイントが最初に設定されていて、そのポイントを使いエナジーボールの弾速や大きさ、シールドの強度、チャージ速度などのパラメーターを割り振っていく。試合前に仲間とコミュニケーションを取りながら戦略を考えていくのは、チーム対戦型ゲームをやっているようで楽しかった。
パラメーターを4つのアビリティに割り振っていく(プロは弾速を早くするらしい)。
・BULLET SPEED(弾速)
・BULLET SCALE(弾の大きさ)
・CHARGE SPEED(チャージ速度)
・SHIELD STRENGTH(シールドの強度)
HADOの細かなルールはこちら
試合開始!!
今回はSTYLY取材班の4人で試合をした。
エナジーボールを出すときにはコツがあり、ガッツポーズをしてそのまま直角に腕を突き出さないと放たれない時がある(これが実際に試合をやってみると難しかった、フォームを維持するのを忘れてしまったりする)。あとチャージをこまめに溜めないとそもそもエナジーボールが撃てず、敵にチャージが溜まってないのがバレるとボコボコにされたりもする。
実際の試合風景はこんな感じだ。
一人称視点で見てみると迫力がある。
実際にプレイしてるときはこのように自分の目の前にはHADOが飛び交っており、避けるのにも一苦労だった。
後々になって録画してもらった映像を見返すとインストラクターさんがめちゃくちゃ試合中にアドバイスをしてくれていたのだか、我々運動不足の大人は動くことに必死過ぎて常時満身創痍だった……。
はじまりは「かめはめ波」 HADOについて質問してみた
──HADOが開発されるまでの経緯を簡単に教えていただけますでしょうか?
元々うちの会社の代表の福田が子供のころから「かめはめ波を撃ちたい」っていう壮大な夢を持っていたんです。かめはめ波を撃つために気功の勉強をしたり、武道をやったり修行を積んだんですが、かめはめ波を撃つまでに僅かに至らなかったらしく、丁度その時期(2014年ごろ)にARの技術が出始めて、これを使えば自分の幼いころからの夢だったかめはめ波が打てるかもしれないと思って会社を立ち上げたのが一番最初の始まりです。ある意味かめはめ波を撃つために作った会社ですね。
開発当初はゲーム的なコンテンツで、モンスターが出てきたらそれをエナジーボールで倒すようなものを制作していたんですけど、やはりそれでは新しいコンテンツを作らないとユーザーに飽きられてしまう且つ継続性がないものになってしまうのが分かり、試行錯誤をした結果「スポーツ」という形式であれば飽きられず継続性もあるのではないかとなりました。
それがしっかりと形になったのが2016年ごろです。ローンチされてすぐに大会も開催され徐々に今のHADOの形になっていきました。
──開発当初は今とルールは違ったんでしょうか?
エナジーボールを放って相手のライフを削る。いわゆるポイント制というところは変わっていないんですけど、最初のバージョンはスキルを設定できる、パラメーターの調整というのは無くて全員同じ能力で戦うルールでした。
アップデートを重ねていく段階で、更に競技性を活性化させるためにと言うことで、パラメーターのシステムっていうのは新しく導入してある程度今のHADOのルールに近い形になっていきました。
──今後どういった展開になる予定でしょうか?
教育の現場に取り入れていく展開が望ましいかなと思ってます。というのはチームスポーツは学校の体育の授業とかと非常に相性が良くて、授業の体育の時間は体を鍛えるとか目的もあると思うんですけど、チームで協調性を学ぶ事も非常に重要な要素だと思います。
例えば、ドッジボールやバスケットボールなどのスポーツにおいて弾を投げる速度を瞬時に変えたり自分の能力値を即座に超えたりする事はどうしても現実的に考えて無理だったりするじゃないですか。
その点HADOは、パラメーターの調整によって弾速を早くしたり遅くしたり、シールドの強度なども即座に変更することができ、すぐに試合で試したりすることで分析と実践が短い時間でできるんです。というところで、非常に強みではあるかなと思っています。
実際、今小中学校など様々な場所で試しに試験導入させてもらったり、HADO ARENAの方でも子供向けと大人向け両方でスクールを運営しています。
やはり実際に体験していただくと今の子供達ってデジタルネイティブというか、こういうものをやるのに抵抗がなくてスムーズに受け入れられると思うんですよね。
今後は、学校の休み時間に「HADOやろうぜ!」とかで、みんなでHADOをやるのが当たり前になったり、HADO部なんかを作ったり、近い将来には実際に部活動で大会に参加して盛り上がったり。そうなれるように引き続き教育面にも力を入れていきます。
──貴重なお話ありがとうございました。今回の取材で未来のスポーツや子供たちのデジタルへの柔軟性についてなど様々なことについて考えさせられました。
「HADO」を体験し終えて
ARスポーツ「HADO」をいざやってみると思った以上にスポーツとして確立されていたように感じた。
筆者は時々VRゲームなどで体を動かすこともあるのだが、ここまで広い空間でゴーグルを
かけて体を動かしたことはなかったのもあり、広大なフィールドでデバイスを装着しながら波動を撃ち合う事自体が新鮮で、さながら『トロン』のようなSF映画の世界に入り込んだ感覚になった。
老若男女が楽しめるスポーツということもあり幅広い層に支持されつつあるARスポーツHADO。今後の展開に期待だ。
皆さんも是非、HADO ARENAで普通のスポーツとは一味違う未知のスポーツを体験してみて欲しい。
HADO ARENAお台場店は、株式会社meleapが開発を手がけているHADOを体験できる施設だ。
専門のインストラクターが常駐しているので初心者でも安心して訪れることができる。
お台場以外にも、北海道などにも展開しておりHADO ARENAよりも小規模なHADO FIELDなどもある
「HADO ARENA」Information
今回の体験場所「HADO ARENA」お台場店
・HP
※予約方法やその他お問い合わせはHPから確認できます。
Photo by RIN
Edited by SASAnishiki