本記事では、3DCGにおける空間デザインで活用できる、ネガティブスペースを意識した配置についてご紹介します。
ロゴやwebデザインなどの2Dデザインで主に活用されるデザインの基本知識を3DCGに落とし込んで、応用していきたいと思います。
ネガティブスペースとは
ネガティブスペースとは
ネガティブスペース とは、「余白」のことです。空白スペースと言ったりもします。
この余白を上手に活用すると、メインビジュアルが活きてくる配置になります。
ユーザーにどの部分をメインに見てもらいたいか、他のオブジェクトとのバランスはどうか、を考えて意図的に余白をとります。
また、余白というと単色背景や白背景を連想しますが、必ずしも単色の背景でなければならない、ということはありません。メインビジュアルやそれ以外の要素とは別に、何も要素がない部分を「余白」と考えましょう。
空間デザインにおいても、家具との間に何も置かない部分を取ったり、同系色の家具、天井、壁などを余白として残すことで空間を広く見せメインの家具を強調することができます。
下の画像だと、左から天井にかけて余白が取られています。これをネガティブスペースとして確保し、家具部分をポジティブスペースとして配置しています。ポジティブスペースについては、下のセクションでご説明します。
画像参考元:https://unsplash.com/photos/RTxQBPGA3IQ
ポジティブスペースとは
ネガティブスペースの反対にあたるのが、ポジティブスペースです。
これは、ロゴなどのメインビジュアルに当たる部分のことを指します。空間デザインでいうと、見せたい家具をメインビジュアルとして配置します。
下にある画像だと、自転車と建物をメインにおいて右側全体を余白として確保しています。
画像参照元:https://unsplash.com/photos/8_vzxZp7l4c
ネガティブスペースの有無による違い
バランスだけを重視した配置の場合
こちらの部屋は一見、整頓されている部屋に見えます。
ここでは、暖炉をメインオブジェクトとして配置してみましたが、ネガティブスペースを意識する、という観点では少し全体が重く感じます。メインオブジェクトが他のオブジェクトと同等の印象を受けるので、イメージが弱くなっています。
そこで、各オブジェクトの間に余白をあけてレイアウトを変更してみます。また、照明も足してみます。
ネガティブスペースを意識した配置
こちらはネガティブスペースを意識した配置に変更したものです。上の配置とは反対に壁側に余白を取ったことで、空間に余裕を感じ全体的にすっきりとした印象を感じられます。
今回は3DCGの空間デザインとしてご説明していますが、これは実際の部屋をレイアウトする際にも適用できます。
ネガティブスペースを活用するメリット
ネガティブスペースを活用するメリットとして2点を挙げられます。
- ユーザーに何を一番に見せたいのかが伝わる
- ネガティブスペースがポジティブスペースを安定させる
ネガティブスペースを活用することで、見せたいオブジェクトを活かした配置をすることができます。
目立たせる、というよりはあえて作ったネガティブスペースによって、よりポジティブスペースが安定して見える、ということです。そうすることで、ユーザーに何を一番見せたいのかが伝わります。
ネガティブスペースを活用した例
こちらはネガティブスペースを活用した空間デザイン例です。レンダリングする場合は、ネガティブスペースを意識して書き出すと良いです。
ネガティブスペースを意識した配置のセクションで紹介した部屋を少し解説します。
ここでは、ネガティブスペースを意識したことに加えて、全体的に目線が下にいくように配置をしてあります。
部屋の半分以上を占める高さのものを配置すると部屋に圧迫感や狭さを与えます。もし高さのあるオブジェクトを置く場合は、壁と同系色のものを置くことで圧迫感が緩和されます。
まとめ
以上の踏まえてまとめます。
- ネガティブスペースは「余白」です。
- 空間デザインでは、何も置かないところ、または同系色の集まりを余白として考えてみましょう。
- ポジティブスペースとネガティブスペースはどちらもバランスを安定させる要素です。
また、タンブルで空間を閲覧する場合も、同様にメインビジュアルの周りに他のオブジェクトが重なって、空間がうるさくならないようにしましょう。一番大切なのは、何を一番ユーザーに見せたいかを意識することです。
いかがでしたか。
このように、3DCGの空間にネガティブスペースを作ることはさほど難しいことではないことがわかります。バランスを考える、を意識すると必然的にネガティブスペース、ポジティブスペースを確保してくことになります。
これから作品制作される方は、以上の基本知識をチェックしてみてください。