前回に引き続き、VR空間でペイントができるソフト「Tilt Brush」を使って、“VRマンガ”の制作に挑戦していきます! 5週にわたって連載してきましたが今回が最終回です!
この記事では完成したマンガ、そしてその制作方法を紹介していきたいと思います。 では早速、VRマンガ“Apple Bunny” #5 (Last) をごらんください!! VR環境をお持ちの方はSTYLY Galleryへ☞http://gallery.styly.cc/OEKA_AKI/f9725a31-eb54-11e8-b34d-4783bb2170d0
“Apple Bunny” #5 (Last)
#1へつづく
ということでApple Bunnyもこれにて閉幕!いかがでしたでしょうか!! 今回は初めてストーリーのあるVRマンガを描いてみようということで、できるだけ複雑な話にならないようにしました。 さて、透明な壁が至る所に発生していて完璧とは言い難いですが、#1から#5まで通したものもご用意しました! つくりの粗さも含め、ぜひとも通しで楽しんでみて下さい! “Apple Bunny” Complete ver.☞ http://gallery.styly.cc/OEKA_AKI/91d11446-eb37-11e8-b34d-4783bb2170d0 全5回にわたってつくってきたVRマンガですが、色々試行錯誤しつつ反省点もたくさんありました。 では今回は、どのようにして”Apple Bunny”ができたか、作ってみてどうだったかを書いて、連載を締めくくろうと思います! 早速、制作方法の紹介にいきまーしょう!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
なぜVRマンガを描こうと思ったか考える
みなさんはVRマンガというコンテンツを他に読んだことはあるでしょうか? VRマンガと検索してヒットする作品は、いまのところ企業の発表するものが多い印象があります。 そしてそれらの多くは、3Dモデルやアニメーションなどを駆使してVR空間上でマンガを再現するというものが多いと感じています。 VR空間ならではの演出は本当に素敵で、とてもたくさんの人の手のかかったすばらしい作品がたくさんありますよね! しかし! わたしが思うにマンガの素敵なところとは、たった一人でも、週連載できるほどスピーディに、作品を投稿できるというところだと思っています。 そして、VR空間ならではの演出をしたマンガについても「個人でなんとか描く術を確立できないかな…」と思ったのです。 マンガ的な表現をVRで再現するだけではなく、VRマンガが漫画の一ジャンルとして今後広がっていくには、絶対にそれが必要だと思いました! マンガは誰でも気軽に描けてこそマンガなのです! 今回の連載はそういったことへのわたしの挑戦なのです!!
VRマンガで何ができるか考える
VRマンガを描く以上、平面のマンガではできない表現というものを追求することは重要です。 今回は誰でもすぐに挑戦できることをテーマにしているので、Tilt Brushだけを使って何ができるかを考えてきました。 Unityなどの難しいソフトは一切使用しません。 もちろんVRペイントソフトはTilt Brushだけではなく、QuillやLeap Motion Paintなどいろいろなデバイスに応じたソフトがあります。 そして今後更に色々な表現ができるソフトはふえてくれるだろうと思います。(と期待しています!!!) 通常のVRアートと比較しても、VRマンガはストーリー性を兼ね備えた表現ができる面白いジャンルになると思います。 今あるソフト・デバイスで何ができるか、今後発表されるソフトやデバイスで何ができるのかを常に追っていく必要がありますね!
とにかく作品をつくってみる
さて、上で考えたことを何回か試していく中で、「VRマンガを1本つくれそうだ!」という確信が生まれました。 ということで早速Apple Bunnyの制作に取り掛かったのです。 創作において勢いは重要ですね!!!
キャラクターデザインをする
まずストーリーを描くにあたって、メインキャラを考えました。考える上でいくつかの条件をつけています。 ①メインキャラは多くて2人 ②デフォルメを強く単純な造形にする ③Tilt Brushのブラシで再現しやすい形状にする ④VR空間を動き回る活発なキャラにする
ウサギの擬人化にした理由は、トーンのいらない真っ白なデザイン、耳をCel Vinylでお手軽に生やせる、Toonでもこもこを表現できそう、といったところです。 基本的に平面上に描くことを想定していましたが、3Dでも再現しやすい方がいいだろうと思ってこのような姿になりました。
ネームを描く
ではキャラが決まったので、このキャラで簡単なストーリーを考えます。 できるだけ単純に起承転結を決め、それにそってネームを作っていきます。 今回のお話は、 起 「ウサギがおなかを空かせているとリンゴを見つけた」 承 「登って取りに行ったが木から落ちてしまった」 転 「急に現れたトリに空中でキャッチされ助けてもらった」 結 「実はトリの目的はリンゴで、盗られてしまいふりだしに戻ってしまった」 という流れにしようと決めました。 流れの決め方はキャラの決め方に準じて、登場人物を少なく、できるだけ動きが大きくなるようにしています。 以上をもとに、大雑把にコマの流れと配置をきめていきます。
この時点ではイメージ通りにいくとはと思っていないので、かなりアバウトに書いています。 これでマンガの設計図ができたので、あとはこれを元にいよいよ作業に取り掛かます。 この先は実際にVRマンガを作る作業になるので、#1からご紹介してきた手法を色々使って先に進めて行きます。
今回はオチからまた最初に繋がるような話の流れを想定しているので、地形も始まりと終わりを合わせるような設定にしています。 ネームでかなり大雑把に考えていたので、実際の作業では帳尻を合わせるのがとてもむずかしかったですね!
VRマンガ制作を振り返る
以上のような作業を経て、VRマンガを完成することができました。 実際にApple Bunnyを歩いてみた方はわかると思いますが、正直なところ荒い部分が非常に多くて完成度としてはまだまだかなと感じてはいます。 特に意図しない壁が発生する点はまだ不明な部分が多いので、もっと試行が必要でしょう。 しかし5週にわたる連載の末、1本のVRマンガは確かに完成しました! 完成するということは創作において何より重要なことです。 個人でのVRマンガ制作をしている人がほぼいない中で、頼れる人もなく果たして完成できるのかもわからずに作業を5週間続けてきました。 しかしここに、確かにVRマンガを完成することのできる証を、5週の連載を通して残すことができたと思います。 今後現れるVRマンガクリエイターを目指す方の糧に少しでもなればとてもうれしいです!! きっとできます!!がんばってください!!!
さいごに
この度は5週にわたり記事、そしてVRマンガをお読みくださり本当にありがとうございました。 また連載のお話をくださったSTYLYの運営方々も、本当にありがとうございます。とても楽しかったです!! こちらのSTYLYさんのオウンドメディアではVRマンガ以外にも様々なVR開発などのヒントになる記事がたくさんあります。 ぜひ、色んな方々の知識を拾い集めて、皆さんの血肉として頂きたいなと思います!! それではみなさんの活動が今後ますます盛り上がっていくことを願っております! またお会いしましょう~!!