【体験レポ】デカすぎる!日本に存在する巨大な「地下神殿」に潜入してきた

体験レポとは

本シリーズは我々STYLY取材班が様々な超常的かつ非日常的な体験をしに行き、多岐にわたる文化やサブカルチャーをお届けする体験型レポートシリーズである。

今回我々STYLY取材班は、「地下神殿」を体験しに行くことにした。

ファンタジー作品などでしか見たことのない「神殿」というスケールの大きな施設がここ日本の地下に存在するという。神殿という文言だけ聞くとかなり異質ではあるが、果たしてその実態とはどういうものなのか、真相に迫っていく。

地下神殿の外観

地下神殿の外観

地下神殿に潜入

今回参加したコースはまず集合場所に集まり、そこで巨大地下神殿殿についてのレクチャーを受けるというものだ。

地下神殿の機能や歴史などを簡単に解説してくれるため、ある程度の概要を把握したうえで地下神殿内部を見学することができる。

「それでは地下神殿に移動します~」と案内されたのは広大なサッカー場である。

地下神殿の入口はサッカー場の端にぽつんと存在していた。

「本当にここから地下神殿に行くのか?」という疑問と、醸し出される秘密の地下施設感があり、ワクワクが止まらなかった。

地下神殿の入口

地下神殿の入口

中に入ると100段はあるであろう階段が我々を迎える(階段は危ないので撮影禁止)。

階段を降りている途中で既に地下神殿の内部が見えており、ツアー参加者の方々から「おぉ~~」という歓声が上がっていた。

 

ついに地下神殿内部に到着

地下神殿内部

地下神殿内部

圧巻の光景である。デカすぎる。

平坦で広大な地面から巨大な柱が何本も立っており、パルテノン神殿を彷彿とさせる光景はまさに地下神殿という言葉がしっくり来る。

常に地響きのような、水が大量に流れているような重い音が神殿内部に響いている。

ここは「調整水槽」という施設で、なんと水が貯まる場所なのだそうだ。

地下神殿は横幅78m、長さ177m、高さ18mの巨大な空間であり、人間と柱の身長を比べるとそのスケールの大きさがわかるだろう。

デカすぎる柱

デカすぎる柱

屋外では巨大な建物などは何度も目にしたことがあるが、この広大なスケール感が地下に広がっているという事実に驚愕した。

秘密の地下施設感があり、少年心をくすぐられる。

ここに大量の水が勢いよく流れてくることを想像すると、スケールが大きすぎて具体的なイメージが浮かんでこない。

ということで、江戸川河川事務所がリリースしている「首都圏外郭放水路ARアプリ」で水が流れてくる様子をARで見てみることにした。

首都圏外郭放水路ARアプリ

首都圏外郭放水路ARアプリ

水が巨大な空間に満ちていく様子は幻想的でもあるが、同時に恐怖感もある。

 

ここはセントラルドグマかアビスの大穴か

調圧水槽の次は「立坑」(たてこう)の見学に移る。

今回見学したのは調圧水槽に隣接する「第一立坑」である。

立坑とは貯水タンクのような物で、ここにたまった水が調圧水槽に送られる。

第一立坑は内径31.6m、深さ71mの巨大な空間である。

横から見た立坑

横から見た立坑

あまりにも巨大すぎるが、なんと「台座を含まない自由の女神」がすっぽりと収まってしまう大きさだという。

立坑内部に入ると、一番上から底まで移動するための階段が我々を迎える。

高さ71mと聞いても自由の女神の実物を見たこともないし、上ったこともないので想像がつかない。何も考えずに階段を少し降りてみる。

上から見た立坑

上から見た立坑

舐めていた。怖すぎる。

手すりを掴んでいないと足が震えてしまい、一歩踏み出すだけでも恐怖心が襲ってくる。

底の写真を撮るのも勇気をふり絞らなければならず一苦労だった。

手すりをつかむ手が震える

手すりをつかむ手が震える

下を覗いて見ると、深すぎてスケール感がわからなかった。

この際にエヴァのセントラルドグマに通じるシャフトや、メイドインアビスのアビス(巨大な縦穴)などが不意に頭をよぎった。

巨大な穴に惹かれていく

巨大な穴に惹かれていく

この画像は調圧水槽から真横に第一立坑を見ているのだが、階段の側面の色が上下で異なっているのがわかるだろう。

色が上下で異なっている

色が上下で異なっている

これは灰色になっている部分まで水がたまり、その水に含まれる土砂によって色が変化しているのだ。

自分がいる位置が水に沈んでいることを想像すると恐ろしい。

その後は第一立坑の壁面をぐるっと歩いて見学するのだが、その際は専用のハーネスを着用するので安心感があり、緊張も少しは緩んだ。

専用のハーネス

専用のハーネス

 

謎の音の正体、ついに発覚

見学中、立坑内部では常に地響きのような水が大量に流れているような重い音がしていたと書いたが、今も水が流れ続けているのかと思いスタッフの方にお聞きしたところ、意外な答えが返ってきた。

「この音は地上でスケートボードをやっている方々の音が反響して鳴っています」

スケボーの音なのか……。

地下神殿の響き渡る濁流の轟音、神秘的だな思いながら聞いていたので意外な回答に複雑な気持ちになってしまった。

見学を終え地上に戻ると、例のスケーター達がスケボーに勤しんでいた。

地上でスケートボードをやっている方々

地上でスケートボードをやっている方々

あなたたちのおかげで地下神殿の迫力が増しているよ、と心の中で呟き、首都圏外郭放水路を後にした。

 

地下神殿とはどんな施設か

今回体験した地下神殿とは「首都圏外郭放水路」という施設の別名である。

埼玉県の中川・綾瀬流域は大雨の際に利根川、江戸川、荒川が氾濫しその影響で洪水や浸水被害が多発していた。

首都圏外郭放水路はその地域に流れ込む水を地下に溜めて江戸川に流し、被害を抑える目的で作られた施設である。

 

ここからは、首都圏外郭放水路のメカニズムを簡単に説明する。

まずはそれぞれの河川から水をトンネルを通じて「立坑」というタンクのような箇所に送りこむ。

この立坑は第一から第五まであり、ここの水は最初に行ったパルテノン神殿のような「調圧水槽」に送られる

水は勢いよく流れてくるので、この勢いを調圧水槽で調整し、ポンプで排水機場に送られる。

最後に排水機場で水量を調整し江戸川に放流されるという仕組みだ。

分かりやすいように、図解してみるとこうだ。

首都圏外郭放水路のメカニズム

首都圏外郭放水路のメカニズム

今回は「立坑体験コース」に参加したので地下神殿(調圧水槽)と第一立坑を見学することができた。第一立坑は内径31.6m、深さ71mもあるので圧巻の大きさだろう。

他にも、「地下神殿コース」、「インペラ体験コース」などもあるので自身の興味のあるコースを体験してみてはいかがだろうか。

 

地下神殿を体験してみて

日本の地下に存在する大神殿は、洪水や水害から都市を守るための防衛機構であり、そこに生活する人々には欠かせない施設である。

首都圏外郭放水路の周辺

首都圏外郭放水路の周辺

実際の見学会では首都圏外郭放水路の詳しい機能や解説をスタッフの方がしてくれるので、興味が沸いた方は是非自身の足で内部を歩いて体験していただきたい。

圧倒的な存在感とワクワクを味わうことのできる地下神殿を是非楽しんで欲しい。

「首都圏外郭放水路(地下神殿)」Information

HP
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※体験する際の注意事項や予約方法などはHPで確認できます。

Edited by SASAnishiki
Photo by Ryota