この記事ではアーティスト、フェミニズム・クィア研究者の「近藤銀河」さんによるVR作品「Digital Bonsai [Ko chuu Sya] -Social in a pottery-」について紹介します。
VR空間に展示されているデジタルの盆栽を、空間作品としてどのように鑑賞するのか紹介します。
近藤銀河さんについて
フェミニズムとセクシュアリティの観点から美術や文学、サブカルチャーを研究しつつ、アーティストとして実践を行っている。特にレズビアンと美術のかかわりを中心的な課題として各種メディアを使い展開している。
主な参加グループ展に『プンクトゥム:乱反射のフェミニズム』(2020)など。
ついたあだ名が「車椅子の上の哲学者」(近藤銀河 ポートフォリオサイト より引用 https://gingakondo.wordpress.com/about/ )
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.ginga
Twitter:https://twitter.com/SpiralGinga
メディア芸術領域のみにとらわれず、ジェンダー・セクシュアリティ・クィアなどの観点も取り入れた制作を行っているアーティストです。
過去の作品にはUnreal Engine4を使用したメディア芸術作品を制作しています。
『Notifications』はスマートフォンやPCに届く通知と、デバイスを通して見る世界、そしてその権力性をテーマにした映像作品です。 複数のモニタが虚空に浮かび、信号をうけてランダムにスマートフォンの録画記録を再生する、『Notifications』は目の前で発生する映像作品です。 私的な空間が公的な空間になだらかに接続されてしまう、断片化されたその状況が起こり続ける映像作品です。
(近藤銀河 ポートフォリオサイト より引用 https://gingakondo.wordpress.com/portfolio/the-notifications/ )
Digital Bonsai [Ko chuu Sya] -Social in a pottery-について
この作品は3DCGソフトで作られた作品です。この作品は、レンダリングされた画像データでの発表でした。
作品:https://gingakondo.wordpress.com/portfolio/digital-bonsai-ko-chuu-sya
この作品、作者は以下のように説明しています。
Digital Bonsai [Ko chuu Sya] -Social in a pottery-2019- CG,3Dprint,VR
中国の伝説によれば、仙人の持つ小さな壺の中には世界があり、そこは夢のような世界、全てがある理想郷だという。壺中天と呼ばれるこの種の思考は、小さな樹木を持って宇宙をまねる「盆栽」のような文化に通じている。
デジタルなツールで作られたこれらは盆栽であり、壺の中の世界でもある。一つ一つの盆栽には、社会を反映した物語も込められており、それ自体が世界の写しでもある。
こうして作られたデータは3Dプリンタによる出力や、VRへの移植など多様な展開のソースとなり今も増殖を続けている。(近藤銀河 ホームページより引用 https://gingakondo.wordpress.com/portfolio/digital-bonsai-ko-chuu-sya/ )
説明中の「VRへの移植」が、STYLYで公開されているシーンとなります。
VRのみならず、近藤銀河さんは3Dプリンタでも公開しています。
Digital-Bonsai
printed by sonic mini 4k#b3d #3DPrinting #phrozen pic.twitter.com/nwqFCYYTtE— 近藤銀河👩🦼🏳️🌈お仕事ご依頼募集中 (@SpiralGinga) December 26, 2020
画像データ(プリレンダリング) / VR(リアルタイムレンダリング)/ 3Dプリンタと、デジタル盆栽のデータをさまざまなメディアを通して表現されています。
VRでは、建築空間も作品に取り入れることによって、インスタレーションの性質を帯びた作品となっています。
空間にはデジタル盆栽だけでなく、アバターが配置され、視点が構築されています。
視点による他者性が疑似的に表現されることで、空間がギャラリーや鑑賞空間として拡張されます。
そのアバターは通常の人型だけではなく、巨大な人型のアバターも用意されています。
この視点から作品を鑑賞することができる、というメッセージとも読み取れます。
画像データではカメラの画角からでしか鑑賞ができないですが、VRであれば自由に作品を鑑賞できます。アバターによって視点のガイドが表現されています。
盆栽を鑑賞してみましょう。一つ一つの盆栽は特殊な形状をしています。
ローポリゴンの3DCGに、フラットなカラーリングが特徴的です。
盆栽は植物の複雑性に美学を見出された芸術です。その複雑性をあえてそぎ落とし、プリミティブな形状で表現されているのが、銀河さんの「盆栽」です。
しかし、その形状は一定ではありません。
多様な形状が一つの空間に配置されている状態です。一つ一つはデジタルの「盆栽」という括りになっていますが、一つとして同じものはないです。
「一つ一つの盆栽には、社会を反映した物語も込められており、それ自体が世界の写しでもある。」と作者は説明しています。銀河さんはフェミニズム・クィアといった社会の中でも「マイノリティ」と称される人たちに焦点をあてた研究をしています。
クィアはLGBTQのQにあたります。LGBTQの象徴として「レインボーカラー」があります。
通常、盆栽は緑・土色がメインの作品です。
この2つを比較することで、デジタル化された盆栽は、カラフルなオブジェクトがあてはめられ、その一つ一つに多様性を見出すことができるのではないでしょうか。
シーン
盆栽の形状、カラーを中心に作品を鑑賞しました。
上記以外観点のみならず、じっくりと鑑賞することで、新しい発見があるかもしれません。
- スマートフォンから体験する STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。
作品のダウンロードが完了したら、以下の画像をクリックし、シーンにアクセスします。シーンページのQRコードを読み取ると、作品が鑑賞できます。