この記事ではNEWVIEW CYPHER 2021に参加したアーティストの「レパー」さんのセルフタイトル作品「LEPER」についてレビューをします。
NEWVIEW CYPHERはXR活動以外の場で活躍するアーティスト・クリエイターがSTYLYを使ってXRを制作するプロジェクトです。
12名のアーティスト・クリエイターが参加し、そのシーンのレビューをPick Up Sceneで取り上げていきます。
今回はアーティストのレパーさんの作品です。
レパーさんについて
大阪出身、京都精華大学を卒業。
転写技術を利用し、段ボール、アルミニウムをつかった作品を展開。
幼少期に観続けていた1990年代のアニメの影響を受け、美少女の図像を分解し、溶剤などを使いバグが発生しているかのようなビジュアルを生み出す。
コロナ禍では転写に使用するエタノールが手に入らないため、日本酒や洗口液などをも利用し転写している。
Twitter : https://twitter.com/Leper_kamilah
Instagram : https://www.instagram.com/leper_kamilah
Tumblr:https://leper-kamilah.tumblr.com/
過去の活動には、インターネットレーベル「Maltine Records」からリリースされたコンピレーションアルバム「???」のアートワークを制作しています。
“LEPER”について
作品を立ち上げるとアニメキャラクターや、レパーさんの作品の画像などがカオティックに配置された空間が目の前に広がります。
国民的に人気なゲーム・アニメのキャラクターのGIFのみならず、2000年代のギャルファッション雑誌の切り抜きが配置されています。
なぜこのチョイス、とツッコミたくなるようなセンスですが、それだけにとどまりません。
現在25~30歳ぐらいの人までは小学校で一度は触ったであろうソフトウェア「一太郎スマイル」の画像も配置されています。
そして巨大に配置されたレパーさんの作品たち。
一見、無秩序なチョイスのように見えますが、その多くは2000年代前半に我々が触れてきたものです。
デジタル表現のためにチョイスしたこれらの画像類と、過去のレパーさんの作品を比較すると、レパーさんの新しいムードを読み取れるのではないでしょうか。
レパーさんの作品の根幹を成すのは1990年代のアニメに登場するようなキャラクターです。
“いなたい”テクスチャ、目の大きさなどを特徴としたキャラクターたちを、キャンバスではなく日常の物質に転写し、そのキャラクターイメージを変容させる試みを、美術作品を通して発表してきました。
レパーさんの最近の取り組みとして、物理的に表現するだけでなく、デジタル上での表現も増えています。今回のVRの試みもその一つです。
過去には、クラブでのVJも行いました。
hirihiriさんのDJで流したかった映像を流せて良かった pic.twitter.com/tZbX6IszaM
— レパー 🧠𝔏𝔈𝔓𝔈ℜ (@Leper_kamilah) June 2, 2021
その内容は今回のVRの空間のように、2000年代に登場したイメージを多く使用しています。
VJの時に流してた映像 pic.twitter.com/EOy5XVFrqz
— レパー 🧠𝔏𝔈𝔓𝔈ℜ (@Leper_kamilah) June 2, 2021
インターネット上に放流された2000年代の2Dイメージ類を収集し、それをコラージュ的に配置しています。それにより、モニター上に表示される情報量を膨大にし、我々が処理できる範囲を超え、カオス性を生み出しています。
本来デザインされていた、意図されていたイメージを崩壊させるデジタル表現こそ、レパーさんにおける「インターネットスカム」なのではないでしょうか。
モニターや2D上で表示されていたインターネットスカムを空間的に、立体的に体験できる作品が今回の「LEPER」となります。
JACKSON kakiくんに誘われて、1ヶ月間VR&ARのワークショップを体験しました。kakiくんのサポート助かりました。インターネットスカム全開のVR世界ができたし楽しかったです。
※音楽、ファッション、グラフィックの他の参加者の方達はちゃんとしたVR世界を作ってます pic.twitter.com/wmNP58dhNP
— レパー 🧠𝔏𝔈𝔓𝔈ℜ (@Leper_kamilah) July 31, 2021
1990年代のアニメキャラクターを使った美術表現のみならず、インターネット上のイメージを使用した新しい表現への挑戦がレパーさんの新たな領域への進出になるのではと感じられます。
シーン
今回は作品を通して、作家性とイメージについて考察する試みで紹介しました。
上記以外の観点に限らず、じっくりと鑑賞することで、新しい発見があるかもしれません。
- スマートフォンから体験する STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。
作品のダウンロードが完了したら、以下の画像をクリックし、シーンにアクセスします。シーンページのQRコードを読み取ると、作品が鑑賞できます。
- PC / VRからシーンを体験する
以下の画像をクリックするとSTYLY GALLERYのシーンのページへアクセスします。機器を選択し、体験しましょう。