しきたりが崩壊し、音楽が台無しになる
台湾のアーティストTheom Chenが手がけるこの作品は、ARを通して台湾の伝統的なオペラを鑑賞できます。
この作品のタイトル「禮崩樂壞」は古代中国の慣用句で「しきたりが崩壊し、音楽が台無しになる」という意味だそうです。テクノロジーが日々発展し、世の中の価値観が目まぐるしく変化するこの時代に、伝統的なオペラの形式はARを通してどのように映るのでしょうか。
大型のトラックに牽引されている大きな舞台小屋。劇車と言われるその天井には女性の仮面が立てられています。この劇車は、あちらこちらに向かってドライブし続けます。それを追いかけながら四角い舞台小屋の中をのぞいてみましょう。
小屋の中はカラフルな舞台美術とエキゾチックな絨毯が敷かれ、演者の登場を待ち構えています。
それも束の間、劇車がどんどん進んで行き、すぐに舞台から放り出されてしまいます。予測不能な動きをする劇車に振り回されながら、舞台を見ようと追いかけるのに必死です。
劇車の後方についた電飾には「歓迎善信大徳蒞臨参拝」(善良な信者と偉大な美徳を歓迎します)という文字が光ります。
興味と好奇心のまま劇車を追いかける鑑賞者に対する労いの言葉なのか、はたまた滑稽に劇車を追いかける鑑賞者への皮肉なのか。どのように受け止めるかはあなた次第かもしれません。
オペラの様子は記事冒頭のYoutubeでご覧いただけます。
急速に変化する価値観への順応性
この作品では、伝統的な価値観を重視しなくなり、日々目まぐるしく変わる価値観へどうやって人々が順応するのか、というテーマを扱っています。
バーチャルの劇車は40~50cmの高さです。観客がオペラを観る際は、前かがみになって移動する劇車を追わなければなりません。
台湾の伝統的なオペラの形式を用いて、目まぐるしく価値観が変化する現代社会の中で、いかに不合理で不均衡で混沌とした方法でそれに順応しようとしているかを表現しています。
ステージを追いかける観客
スマホ片手に動くステージを追いかける鑑賞者。側から見ると少し滑稽なその様子は、まさに不合理な方法で新しい価値観に順応していこうとする姿勢そのもののようです。この作品を通して私たちは混沌とした現代社会における自分たちのいびつな順応性に気づくのかもしれません。
ARシーン体験方法
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Edited by SASAnishiki