今回はNEWVIEW AWARDS2020 FINALISTSに選出された上海のアーティストYiming Yangさんが製作した「The Garden of Eden」についてご紹介します。
この作品は上海で活躍されているアーティストYiming Yangさんによって製作されました。
キャプションは以下の通りです。
「The Garden of Eden」
エデンの園は、人工知能の今日の発展に呼応する。
人間の知性の起源は、未だ未解決の謎です。
人工知能から必然的に、知性と意識は発生することができるのでしょうか。
私たちは、技術の境界を、生きとし生けるものの創造にまで押し広げるべきなのでしょうか。
この状況は、アダムとイブのことを思い出させます。彼らがエデンの園に入った時、彼らは自身の衝動をコントロールできず、結果楽園から拒絶されました。
私たちは今、神の役割を一部で果たしています。私たちの人工知能という創造物は、この世界でどのように振舞うこととなるのでしょうか。
そして、彼らがその顔を赤らめるとしたら、彼らを追放することができる場所はどこかにあるのでしょうか。
ここでは、イブはロボットの創造物で、つまりは生きているわけではありません。
この地の禁断の果実が象徴するのは、特異点、技術が生きたものとなり、物というよりは、種という地位を手にする瞬間です。
イブは果実に魅了されますが、意識的な考えではなく、コードに支配されています。
どうして私たちは、人間のように行動し見えるロボットを設計するのでしょうか。
機械と命あるものの間の移行は、何によって実現するのでしょうか。
私たちは、この性質の変化をどのように認識することができるのでしょうか。
こうした疑問は、「エデンの園」の中で述べられており、この移行がおそらく起こるであろうことが明らかにされています。
(Newview Awards finalist 2020作品プロフィールより引用 https://newview.design/works/the-garden-of-eden/)
この作品で感じる、AIや人工知能による未来の不確実性とVRで表現することによる利点に着目して作品を解説します。
Yiming Yangさんについて
Yiming Yangさんは様々な媒体や技術を使い、実験的な表現を行う上海のメディアアーティストです。
Yiming Yang
Yiming Yangは実験的なアーティストです。
彼女は2020年に王立芸術大学を卒業し、情報エクスペリエンスデザインの修士号を取得しています。彼女は自分のスタジオを開く準備をしていて、4月18日までスウォッチアートピースホテルのアートレジデンスに参加しています。彼女の作品「バービーナンセンスインストゥルメント」は、自立した、予測不可能な、インタラクティブな楽器で、アップルストアリージェントストリートで紹介されました。
彼女はまた、テートモダン、マイクロソフト、上海当代美術博物館でも作品を発表しています。
Yimingの仕事は、ユートピアとディストピアが不確実性の中で衝突する、今日の人新世後のビジョンの地平を前進させます。
内面の探索不可能な心の状態からの情報の流れは、身体の知覚の流れと衝突し、永遠の生と死の二元論の瀬戸際で不安定にバランスをとる、しばしばばかげたイデオロギーを形作ります。
イミンの個人的な感情は、この不条理の領域で成長し、さまざまなメディアと創造的な技術で作られた彼女の作品に物理的な形を見つけ、最終的に仮想性と現実の関係について話し合います。
(プロフィールはYiming Yangさんのホームページより引用:https://www.yimingyang.org/new-page)
Yimingさんはこの他にも過去に実空間でのインスタレーションも行っています。継続的にYimingさんが我々に問いたい、或いはYimingさん自身が製作をする中で精神や自分の考えにどのように影響をもたらすのかというのを壮大な実験を通して作り出しているのだと感じます。
「The Garden of Eden」
この作品は空間インスタレーションを、仮想空間上で行うという形式で表現されています。
まず自分(鑑賞者)は人間では無い、アンドロイドのような少女を目の前にし、この作品の中に立たされます。
上部の方に文章がつづられています、これを訳すと「エデンの園へようこそ。あなたは神です。イブは知っていますが、まだ理解していません。彼女は禁断の果実に魅了され、人間になりつつあります。」と書いてあります。
鑑賞者はVRを装着しYimingさんによって作品の中に誘われ、神の視点から人間になりつつあるアンドロイドの少女を眺めていきます。まるでこの作品は一つの神話を見ているかのように神々しく、VRで鑑賞するとより世界観を体験できるのでVRでの鑑賞をお勧めします。
この作品には次の二つの観点から、VRで作品表現をすることによる利点とAIや人工知能にアプローチをすることでYimingさんは何を我々鑑賞者に問いたいのか紐解いていきたいと思います。
VRのメディア性
一つはこの作品はVR作品の中では特に一人称性に特化している点です。
通常のVR作品ですと鑑賞者を装置を介して、別次元の空間に連れていくという考え方の作品が多いですが
Yimingさんはそれを逆手に取り我々を作品の鑑賞者では無く知恵の実と生命の実を手にした「神」として変身させ、より作品の意図や問いたい疑問が分かりやすく表現されています。
AI、人工知能に対してのアプローチ
近年では技術の発達により、AIや人工知能に対する関心が高まってきた印象があります。
人工知能やAIに対する疑問、未来に対する不確実性を考えることはとても重要な気がしてなりません。
人間の知能を「模倣」するだけだった機械が人間と同じ「知能」を手にした時、我々は彼女たちを機械ではなく何者としてみるのか。
そのように思いを馳せているだけでワクワクしてきます。
私たちがスマートフォンや、VR、AIというものを持って生活するという事を20年前やさらにもっと前の時代の人たちは誰も予想しなかったでしょう。
現在AI、人工知能は作品制作にも活用されつつあります。今後はAI、人工知能をテーマにした作品、或いはAIを活用した作品がさらに増えていくと思います。
シーン
「The Garden of Eden」、現代に生きる私たちだからこそ触れられるYimingさんの世界観を
体験してみましょう。
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