XRライブパフォーマンスで現実とバーチャルが重なるとき「CUE」：0b4k3

2022年09月21日

この記事では、ディレクターの0b4k3さんとアーティストのphi16さんによって渋谷PARCOで行われたXRライブパフォーマンス「CUE」を紹介いたします。作品アーカイブの鑑賞方法については、記事の最後に記載しております。

1 現実に重なるバーチャルワールド
2 コロナ禍でのパフォーマンス
3 アーティスト紹介
4 ライブパフォーマンスのアーカイブをVRで体験
5 VRシーン体験方法

現実に重なるバーチャルワールド

「CUE」は、NEWVIEW AWARDS 2020でPARCO PRIZEを受賞された0b4k3さん、アーティストのphi16さんによるXRパフォーマンスで、渋谷PARCOで行われたNEWVIEW FEST 2021 OPENING PARTYにて公開されました。

現実に存在する場所、渋谷PARCO内の「ComMunE（コミューン）」を舞台に全く同じComMunEの空間をVR上で再現し、現実と仮想空間の交差を試みたこのパフォーマンスは、その一部をStyly上でアーカイブ「CUE [Archive]」として鑑賞することができます。

NEWVIEW AWARDS 2020でPARCO PRIZEを受賞された0b4k3さん。その副賞として渋谷PARCOとタイアップした3D作品を制作し、ARで渋谷パルコに展示する権利が与えられました。当時の受賞作品「TECHNOVINEGAR」はVR作品でしたが、この受賞をきっかけに、AR作品への挑戦を試みたそうです。

こちらにご本人のインタビューがありますので、併せてご覧ください。

XRライブパフォーマンス「CUE」はどうして生まれたのか GHOSTCLUB 0b4k3 × Artist phi16 × パルコ安藤対談

コロナ禍でのパフォーマンス

ここは、バーチャル上の渋谷パルコ「ComMunE」です。剥き出しの単管が重なり合った無機質な構造に、柔らかな質感の布が天井から垂れ下がっています。その奥にいるのは誰でしょうか。

結果として、僕が企画とは無関係に個人的に持っていた「無人の現実の会場で僕のアバターだけが存在していて、その状態でライブをやる」というアイデアに近い状態になった

STYLYインタビュー記事より

新型コロナウィルスが猛威を振るう時期に重なってしまったパフォーマンスイベントは、感染ステージに応じた臨機応変な対応を求められました。そういった状況で、当初のアイディアは何度も変更を余儀なくされたそうです。

リズミカルなサウンドに合わせて光る単管。建築的な構造に沿って空間の奥まで続くその光の迫力は、VR空間ならではの没入感によりさらに強烈に五感を刺激します。

冷たく無機質な単管とは対照的な布の存在は柔軟さをもたらしてくれますが、サウンドに合わせて流動的な運動を繰り返す布の振る舞いは、それ自身の質感への認識を混乱させます。それと連動して波打つ床は現実世界のマテリアルとは全く別物であるとわかっていながらも、仮想上で至極自然に波打つ様子はそれがあたかも現実に起こっているような錯覚を呼び起こします。

こちらから動画もご覧いただけます。

アーティスト紹介

0b4k3（オバケ）

VRクラブ「GHOSTCLUB」主催、Director。近年はVRSNS「VRChat」内で開催された「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」一部会場のディレクションや、「FORGOTTEN［Vocal：ermhoi (Black Boboi / millennium parade)］/ MONDO GROSSO」の2DMV、VRMVのディレクションを担当した。

（STYLYインタビュー記事より）

ライブパフォーマンスのアーカイブをVRで体験

実際のパフォーマンスは指定の時間や場所に行くことでしか体験することができません。しかし、新型コロナウィルスの流行によって多くのイベントが中止に追い込まれた中で、VRはパフォーマンスの可能性を広げていきました。時間や場所の縛りから解放され、その空間を仮想上で再体験できるという環境は既存の時空の概念を破壊し、より自由で新たな形へと変化し続けます。作者の0b4k3さんも、新型コロナウィルスの状況に翻弄されながらも、そこから生まれたアイディアにより新たなシーンを創造されました。

このようにして生まれたXRパフォーマンス「CUE」。音と光と質感が相互作用し全身に刺さる刺激的な体験を、VRでぜひ味わってみてはいかがでしょうか。