STYLY Photogrammetry Award 2019ファイナリスト作品

-Make ART with Photogrammetry-

VRコンテンツアワード「STYLY Photogrammetry Awards 2019」には計31の作品が集まりました。
個性的な作品が集まる中、ファイナリストとして選出されたのは14作品。

8/10(Sat)に予定されている授賞式イベントにて、これら作品の中から「審査員賞」「LookingGlass賞」「STYLY賞」が選ばれます。

STYLY Photogrammetry Awards 2019とは?

フォトグラメトリでアートを創り出せ。STYLY Photogrammetry Awards 2019は、誰もがVR作品をクリエイト&発信できるプラットフォーム「STYLY」を舞台に開催される、VRコンテンツアワードです。本コンテストはSTYLY / PARCO / Loftworkの3社で開催するNEWVIEW AWARDS 2019のスピンオフアワードであり、応募作品はNEWVIEW AWARDS 2019に応募することもできます。

審査員としてメディアアーティストの谷口暁彦さんや、銭洗弁天を丸ごとスキャンし話題になった龍さん、そして裸眼立体視ディスプレイを開発するLookingGlass Factoryさんに参加いただきます。

Oculus QuestやLOOKING GLASSスタンダード、chlomaパーカーといった豪華な賞品も用意されています。 詳しくはこちらのAWARD詳細ページをご覧ください。

《Photogrammetry Museum Yokohama》by iriya_akigawa

私の大好きな街、横浜を記録したフォトグラメトリ美術館です。

東横線の高架下に描かれた”Graffiti”
今もなお、描かれては消えゆく存在。
かつての横浜船渠会社の正門があった場所。
忘れてしまいたい記憶と覚えていたい記憶が交差する。

踏切を抜け、見えてくるのは関東大震災で焼失した二代目横浜駅の遺構。
復興期に海外航路の要となった旧横浜港駅プラットホーム。
旧税関事務所(右突堤中央事務所)の遺構は花壇として今に残る。
消えゆく儚さ、復興を支えた力強さ、新たな役目を得たもの。

大きな錨は役目を終えてなお、「私はここにいるぞ」と主張している。
かわいらしい形、色合いのドック排水用ポンプカバー。
力強い黒さをもつコンプレッサー。
横浜の海を支えた大切なものたち。

ぜんぶぜんぶ。わすれないように。わたしのきおくをとじこめて。

《#ARCHIVETATEISHI(アーカイブ立石)》by Kenichiro Hirai

昨年から有志で始めた葛飾区立石の街並みを3Dアーカイブするプロジェクト「#ARCHIVETATEISHI」の中間報告を、VR作品という形で表現してみました。

京成立石駅北口の呑んべ横丁を中心とする地区は葛飾区の再開発エリアに指定されています。2019年現在、老朽化した建物の取り壊しが進んでおり、2024年を目標に呑んべ横丁の跡地となる場所に13階建ての新区庁舎が建設される計画が立てられています。

本作品では、「もし2024年の葛飾区役所内で、昔の立石のアーカイブ展が行われたら?」という仮定のもと、SNSで集まった写真を含む約3,200枚の写真からフォトグラメトリーで生成した呑んべ横丁の原寸大モデルを葛飾区役所新庁舎の建物内に設置する形で復元しました。

《Deeper blue memory》by akaninn0722

現実の空間をフォトグラメトリを使ってVR上に構築することの利点は、その場所の景色や雰囲気をその場にいるかのように体験できるところだと思います。
加えて今回は、その場所に生きた人の持っていた思い、世界感を融合させることによって、ある種の記憶の中の世界のようなものを構築しようと思いました。
いつか忘れて消えてしまう、大切な記憶やその時の自分自身を少しでも思い出せるように。

数十年前、カメラが普及し人々が写真という形で思い出を追体験できるようになったように、フォトグラメトリ+VRという形でその空間を保存し、追体験することが一般的な形式となる時代は来るのでしょうか?

《n個数のリンゴ》by Hajime Kasai

数えることのできないリンゴについての空間です

《R.I.P. in VR》by mittsu

本作品のテーマは「VR時代のお墓」です。

お墓参りに行くと、最近では折り鶴の墓石や本の墓石など一風変わった墓石があります。
故人のことを思えばこそ、そういった形になるのだと思います。

お墓 そこは故人を偲ぶ場所、遺族の気持ちを整理する場所

その場所をVRによって、もっと自由に物理世界に縛られない形で表現できるのではないかと考え制作しました。
空間自体を墓石にしたイメージです。

もしかしたら不謹慎であるなど批判があるかもしれません。
しかし、故人を偲び自分の気持ちを整理することができる場所、それがお墓の本質であり新時代におけるその本質がこの作品によって少しでも多くの人に伝わればと思います。

《BLOCK HOUSE VR》by Hitoshi Takeuchi

”BLOCK HOUSE VR”は、表参道に実際にあるギャラリー「BLOCK HOUSE」をもとに制作されたワールドで行われるプレイベントです。ワールドは随時更新され、9月にはリアルの展覧会もあわせて開催される予定です。 
本企画は、コモングラウンドのアイデアを継承しつつ、そこからさらに空間がトポグフィックに変容されるような、新たな場面をバーチャルとリアル双方で展開します。
普段から多様なメディアを用いている作家8人が、バーチャルとリアルにおける異質性をテーマに制作を行い、作品やオブジェクトが鑑賞者とインタラクションすることで様々な現象を作り出します。 

"BHVR"‚ BLOCK HOUSE|東京 

(会期) 
2019年9月20日~9月29日 

(時間) 
13˸00 – 20˸00 

(会場)
Block House (B1F, 4F) 渋谷区神宮前6-12-9
http://www.blockhouse.jp/about/index.php

(参加作家) 
飯島モトハル、鈴木 一太郎、髙木ちゃー、竹内均、坪倉輝明、平田尚也、松田勇磨、millitsuka

《nimbus》by Masashi Motokado

雲の峰雲の通ひ路雲の澪 雲居の余所に望む紫陽花 | music: nimbus (Dazzle Impromptu No.1) – mivjm | CC0

《Monument for Vanished Reality》by takafm

本作品では被写体そのものではなく、被写体を写したスマートフォンをPhotogrammetryで復元した。16の方向からそれを繰り返し、撮影時と同じ配置で再構成している。中央に配置した被写体にはテクスチャが無いが、空間上を歩き回り、スマートフォンに映る画像を見ることで、私たちは被写体の原型や、周辺の空間をも想像することができる。

私たちはインターネット上で画像をシェアし、リアルタイムで世界の隅々の様子を知ることができる。当然のように行っているこの行為も、2D化された情報から、現実世界を想像していることに他ならない。

たとえ現実には消えてしまっていたとしても、スマートフォンに映る画像こそが意味であり、現実感である。

それを象徴するようなモニュメントを創りたかった。

《見立ての迷路》by 信 磯野

小学生のころ誰もがやったであろう【道路上の白線をたどる遊び】をVRで再現できないかと考えた。

道路標示は観察者の「見立て」によってその機能を漂白され、新たな空間を帯びる。形が複雑になればなるほど、それは迷路としてのアトラクション性を見出すことができる。

しかし道路標示はあくまで交通のための物であって、交通量の多い道や信号のある交差点等ではそもそも遊ぶことができない。
しかしフォトグラメトリによって再現された時間の流れていない街並みの中では、より自由で選択性の高い行動が可能となる。今回は世田谷砧のとある道路標示の錯綜した交差点を抽出した。

さらに、小さい頃は頭の中で想像していた「線から落ちたらアウト」にリアリティを持たせるために、道路面のシェーダーを近づくと消えるものとした。

童心に戻って都市空間を再体験することで、何の変哲もないと思ってしまうようになった街並みの多様なエレメントについて何か再発見できるきっかけになればと思い制作した。

《Chaos Universe》by Machio_Kinniku

今回フォトグラメトリーしたものは、キーボード,ダンベル,ロボットの3つです。
てんでばらばらのこれらに一体感を持たせる為、全て宇宙に放り投げました。
ダンベルが宙に浮いてたっていいじゃない。宇宙だもの。実際には体験できない、ありえない空間を制作しました。
シーン内の色に関しては、補色や反対色等を工夫し、配置されているモデルの魅力が引き立つよう効果的に仕上げました。
その他にも、この制作ではSTYLY Magazineに掲載されている記事をどれだけ活用できるかというものに挑戦しています。配置されているShaderやParticleなど活用させていただきました。

《A day in Basilica Salute》by nobelchoco

現実の風景・建物は、季節・天候・時間帯、そして、それを撮る人の感性によって、その様相は異なる。
本作品は、ヴェネツィア・サルーテ教会(Basilica di Santa Maria della Salute)が、昼間の青空から、夕焼け空、ライトアップに街が照らされた宵口、明かりがなくなり星空が見える真夜中、そして、空明るみ始め街を照らす夜明けまで、一日の間に変化する表情・雰囲気そのものを、photogrammetry及びphotorealistic style transferの技術により、3D空間として記録・再現することを試みたものである。

《Manhole cover maniac》by noria901

これは、あなたが住む街を、あなたが再発見するまでの、あなたの物語。

《九十九 -TSUKUMO-》by 伊東 ケイスケ

日本の郷土玩具は、どこかとぼけていて愛らしい。独特の魅力に溢れています。
また、古くから伝わる、職人技の結晶でもあります。
たくさんの人々に、日本の郷土玩具をもっと知ってもらいたい。
そして、海外に向けても日本文化の魅力を発信していきたい。そんな思いで制作しました。

舞台の建築は、横浜三渓園にある旧矢箆原家住宅【重要文化財】(1750年頃)を取材し、その一室をモデリングで再現しました。テクスチャはすべて実際に撮影してきたものを、BGMは京都の琴の生音源を使用しています。

また、日本には『九十九神(つくもかみ)』の風習があります。
郷土玩具はお守りや縁起物として身近に親しまれていることから、それらを神々に見立てて、タイトルを『九十九 -TSUKUMO-』としました。

このコンテンツを体験してもらうことで、日本の誇る職人文化や、ユニークな風習、ひいては『日本』そのものに魅力を感じてもらえればと思います。

◆具体的な内容
●体験者には、舞台となる和室で、郷土玩具を見つけてもらいます。
●郷土玩具は、体験者が一定の距離まで近づくことで姿を表し、解説を読むことができるようになります。

《Technicism – Hiroshima Peace Memorial》by Works HRTK

世界遺産の「広島平和記念碑」はあらゆる国籍、年齢の人が訪れて平和への祈りを捧げています。
表題の「Technicism」は技術主義、技術崇拝といった意味があり、本作のテーマでもあります。
作品制作に使用したフォトグラメトリという技術は、写真からリアルな3DCGを生成できるテクノロジーですが、
コンピューターの描く風景はどこか破壊的で危なげな印象を受けます。
本作はコンピューターの再現した仮想空間と、その元となった現実空間を行き来できるようになっています。
私たちはテクノロジーで多くの問題を解決してきましたが、様々な悲劇も引き起こしてきました。
広島平和記念碑には「二度と同じような悲劇が起こらないように」という戒めや願いが込められており、
フォトグラメトリならそうした負の世界遺産としての側面をよりリアルに描けると思いました。
私たちを取り巻く社会や国際情勢は今もなお多くの問題を抱えていますが、私たちは必ず解決していけると信じています。

受賞作品の発表は、8/10(Sat)のPhotogrammetry Meetupにて!

受賞作品の発表は、8/10(Sat)のPhotogrammetry Meetup後の授賞式にて行われます。
イベントの詳細はこちら