Interview, NEWVIW, えもこ,

米YouTube社が運営する世界最大規模の動画共有サイト「Youtube」を活用し、情報発信を行う”YouTuber”という職種が既に日本でも浸透しているが、昨今生身の人間ではないバーチャルなクリエイターが情報発信を行っている。

“バーチャルYouTuber(以降、VTuber)”と呼ばれる3DCGなどで作られたキャラクターを介して配信を行う文化で、美少女などになりきりYoutuber同様、様々な情報発信を行うことが主流だ。

しかし、昨今アーティスト活動を行うVTuberが台頭してきている。

ファッション/カルチャー/アート分野のVRコンテンツを募るグローバルアワード「NEWVIEW AWARDS 2018」にて、グランプリを獲得したバーチャル美術家「えもこ」もその筆頭だろう。

バーチャルライブペイントやVRアニメなど日々チャレンジングな活動を通して、バーチャルアーティストとしての地位を確立しつつある同氏だが、なぜVTuber活動を行うことになったのか?

本インタビューでは「NEWVIEW AWARDS 2018」で受賞されたVR個展「Emoco’s First Private Exhibition」の制作秘話などと合わせて、その裏側に迫ろうと思う。

プロフィール

えもこ(@emoco_art
バーチャルYouTuber /バーチャル美術家|日本
作品名:Emoco’s First Private Exhibition

2018年4月
仮想世界で生まれる / YouTubeチャンネルを開設
2018年5月
バーチャル空間でVRライブペイントを始める
2018年6月
誰でも無料で利用できるバーチャル美術館「VMuseum」をVRChatに建設する
2018年7月
広島の厳島神社でARペインティングを行う
2018年8月
VRアカデミアの美術史教師に就任 / YouTubeのチャンネル登録者数1000人達成 / 「Emoco’s First Private Exhibition」をSTYLYで開催

 

Live x VTuberで現代のアートを表現

まずは受賞おめでとうございます!今回、NEWVIEWを知ったキッカケを教えてくれますか?

えもこ:ありがとうございます! NEWVIEWの事はSTYLYのWebサイトで知りました。

私がバーチャルYouTuber(VTuber)として活動を始めた時に「チャンネル登録者数が1000人になったらVR個展を開く」という目標を立てて、個展の会場をSTYLYで作らせていただいたのですが、その時にSTYLYからNEWVIEWのサイトへアクセスしたのがきっかけです。

 

なぜ、応募しようと思ったのですか?

えもこ:動画の企画として面白そうだったからです(笑)

当時はVTuberでコンテストに応募している方をお見かけしませんでしたし、その一部始終を動画にすれば皆さんに楽しんでもらえると考えました。 偶然STYLYで作品も作っていましたし、これも何かの縁だと思って応募させていただきました。

 

— STYLYはどのようなキッカケで知ったのですか?

えもこ:実は、STYLYの事は私がVTuberとして生まれる以前から知っていました。

2015年にVR空間上で洋服が購入できる「VRショッピング」のプラットフォームとしてSTYLYが話題になりましたよね。

私もその頃からVRに興味を持っていたのですが、今のようにVRコンテンツを作る環境や情報がほとんど無い中で、とても完成度の高いものを作られていて感動したのを覚えています。

今でこそVR空間での展示会が当たり前に行われるようになりましたが、それを数年前にゼロから実現されていたのは本当に凄いと思います。

その後、私のライブペインティングに興味を持ってくださったPsychic VR Lab 代表の山口さんがTwitterでメッセージをくださり、STYLYと再会したのですが、誰でも簡単にVR空間が作れるツールへと進化していて、これなら私のやりたいVR個展が実現できると思い、STYLYを使わせていただく事にしました。

 

— なぜVTuberになろうと思ったのか、という点についてもお教えいただけますか?

えもこ:はい。私はものづくりが好きなので、VTuberも自身の創作活動の一環として始めました。
VTuber活動にはモデリングや動画の撮影など色々なスキルが必要になりますので、自身の表現の幅を広げられると思いました。

 

— なるほど、ありがとうございます。続いて、今回応募いただいた作品Emoco’s First Private Exhibition」についてお伺いしていきたいのですが、この作品はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

えもこ:本作品のコンセプトは「Live」です。

VR個展の展示物は全てライブで描いていますし、応募してから結果が出るまでの一部始終も動画やSNSでリアルタイムに公開するようにしました。

Liveをコンセプトに選んだ理由は、スマホでいつでも簡単に情報を送受信できるようになり、あらゆるコンテンツにライブ感が求められていると感じたからです。特に2018年はそれが際立っていて、ライブ配信アプリが毎月のようにリリースされたり、VR空間上で行われるライブイベントや交流もどんどん増えています。

私は学問として芸術史を学んでいるのですが、アートは作られた時代の空気感を反映したものが沢山あります。

そこで今、VRで何かを表現するとしたら「Live」をコンセプトにして、それをもう一つのトレンドである「VTuber」の私が作れば面白そうだなと考えました。

 

— Live x VTuberの組み合わせでアートの今を表現していたのですね。いつもVRコンテンツを制作する際、どんなツールを使われていますか?

えもこ:3Dの身体や建物などはBlenderでモデリングしていて、絵を描くときは、3Dの絵をTilt Brush、2Dの絵をClip Studioで描いています。

動画の撮影ツールは、やりたいパフォーマンスに合わせてUnityで自作しています

 

生きてると感じる、リアリティーの追求

— 「Emoco’s First Private Exhibition」はどのような手順で制作されたのでしょうか?

えもこ:本作品は、バーチャルYouTuberがVR空間で本格的なライブペインティングを行う「バーチャルライブペイント」と、描いた絵をVR空間に展示した「バーチャル個展」をやりたくて作り始めました。

私がVTuberとしてデビューする所から作品が始まっているので、制作期間は準備も含めると2017年末から半年くらいかかっています。

当時はVTuberになるための便利なツールが少なくて、ほとんど自作しないといけませんでした。

まず、3Dの身体をBlenderで作り、それをVR空間上で動かすためのツールをUnityとHTC VIVEで作りました。

デビューした後は、目標のチャンネル登録者数1,000人を目指してコツコツ作品や動画を作ったのですが、最初はほとんど観てもらえず、目標を達成するまでに12回ライブペインティングを行いました。

ライブ配信はいつも緊張して大変でしたが、応援してくれる視聴者の皆さんのおかげで描き続ける事ができました。

このように好きで作っていた作品が偶然NEWVIEWの方向性と合っていたのも、凄く運が良かったと思います。

VR個展そのものはSTYLYのおかげで3日ほどで作る事ができました。

このような素敵なツールを生み出してくださり、本当に感謝しています。

 

— 制作する際に最もこだわったポイントを教えてください。

えもこ:こだわったポイントが沢山あって選ぶのが難しいのですが、強いて言うならライブペインティングの部分でしょうか。

普通のライブ配信のように画面の隅に人物を合成するのではなく、本格的なライブペインティングパフォーマンスがやりたかったので、その撮影環境を作るのにとても苦労しました。

技術的には実写にVRを重ねるMixed Realityの仕組みを応用して、VRにVRを重ねる方法で作ったのですが、当時はそんな事例が見当たらず、Unityでツールをいくつも作ったり、そのツールを動かすためのPCを作って何とか実現できました。

特にこだわったのが、ライブパフォーマンスの完成度を上げるために、状況に応じて表情やカメラワークを細かく変更できるようにした所です。

Liveには「生きている」という意味もあります。

本作品を体験してくださった方が、えもこというバーチャルな存在を「生きている」と感じてもらえたら、とても嬉しいです。

 

— 最後に今後の展開をお教えください。

えもこ:クリエイターとして素敵なものを作りたいのは勿論ですが、今後もバーチャルの身体を生かした表現を追求していきたいと思っています。

VTuberにバーチャルらしさは求められていないというご意見もありますが、私はバーチャルと美術が大好きなバーチャル美術家ですので、これからも自分が面白いと思うものをバーチャル空間でマイペースに作っていければ嬉しいです。

 

アートは現代を写す鏡と言われますが、Youtubeライブにツイキャス、SHOWROOMなど様々なライブ配信プラットフォームが人気を博している昨今、Live性に目を向け、さらにVRという新しいメディアと組み合わせることで新世代のアート表現を切り拓こうとしているバーチャル美術家「えもこ」。

近い将来、空間表現の重要性がxR技術によりさらに高まると予想され、そのような時代に最も必要とされる人こそVR時代のアーティストではないだろうか。

エンターテインメントは生活に置いて必須ではないが、なければ豊かにはならない。だからこそ、えもこ氏には新たな表現方法の開拓に挑戦して欲しいと思うし、我々も彼女の創作活動をフォローアップしていきたいと思っている。

次回作が楽しみだ。

 

バーチャル美術家「えもこ」氏執筆の記事一覧

Ryohei Watanabe

VR Inside元創刊編集長。Psychic VR Labが提供するVRクリエイティブプラットフォーム「STYLY( https://styly.cc/ )」に惚れ込み、2018年1月よりChief Media Officerとして同社へ移籍。

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