沈む顔が語り掛ける「face」:大西晃生

この記事では美術家の「大西晃生」さんのVR作品「face」について紹介します。

大西晃生さんは美術家として、平面作品・インスタレーションなどを制作します。
NEWVIEW CYPHER 2021に参加し、はじめてVR作品を制作しました。

大西晃生さんの作家としてのキャリアを紹介し、次に、作品の鑑賞ポイントを筆者の考察を踏まえて紹介します。
この記事を読むことで、より作品を楽しめるでしょう。

face

大西晃生さんについて

大西晃生

1996年岡山県生まれ。2019年京都精華大学デザイン学部イラスト学科卒業。匿名的な顔を紙に印刷し、それを圧縮したものを描く手法などを用いて、人間の内包する複雑な感情や社会との表面的な関係性を表そうとしている。

(NEWVIEW CYPHER 公式サイトより引用 https://newview.design/cypher )

GALLERY KTO、国立新美術館、CALM&PUNK GALLERYなど、大小さまざまな規模の展示に参加しています。

OHNISHI Akio CV : https://docs.google.com/document/d/1usOZf_OX-dfhMBc-G_5R5d4ZWb9woJJgV5DhsmFbEgA/edit

Twitter : https://twitter.com/chibakeru

faceについて

シーンの中心には、大西さんが過去に制作してきた「顔」の作品が回転しています。

回転する顔

このオブジェクトは、STYLYでデフォルトで使用できる3DCGのオブジェクトに、PNGの顔の画像をテクスチャとして貼り付けて制作したと考えられます。

大西さんの作品は、キャンバスなどに描かれ、ギャラリーで展示されている状態が「通常」です。

VRで使用されている顔のオブジェクトは「データ」化された状態のオブジェクトです。

データ化された顔

データ化された顔には、キャンバスの細かい凸凹が残され、独特な質感を放っています。

現実で描かれた「顔」のイメージは、3DCGのデータとして変換されてしまったことにより、新しいイメージを構築しているようにも感じ取ることができます。

自動で回転する状態や重なり合った状態など、現実の物理法則から解き放され、データとしての「存在感」を作り上げます。

鑑賞者は、その状態の「顔」をみて、何を受け取ることができるのでしょうか。

face

大西さんの2021年の個展「paper craft」では、以下のようなステートメントを記述しました。

現代の環境によって変化した人間と存在、
自他の関係性ついて考え制作している。
SNSをはじめ、オンラインとオフラインに継ぎ
目がなくなり、現実と虚構が渾然一体と
なりつつある現代では、社会と個人の境界も
非常に曖昧になってきているような感覚がある。
オープンで常に誰もが繋がっている社会というのは、
それぞれがそれぞれを相互に
監視する窮屈な社会ともいえる。
休むことなく回り続けるこの社会の中で、
私たちが抱える違和感について考えている。

( KUNST ARTZ 大西 晃生 個展 ONISHI Akio solo exhibition paper craft より引用
http://www.kunstarzt.com/Artist/ONISHI/akio.htm )

大西さんは現代人をモチーフにする際、インターネット上の「存在」について観察します。

データが取り扱われるインターネット上の人間を、現実に描き出すことで作品を制作してきました。

その作品をVRによって「再度データ化」する、これはとても皮肉的なようにも感じ取れます。

データ化された顔を鑑賞することで、私たちは何を想像するのか。

力強く描かれたイメージは、データによって「0」と「1」のシンプルな状態に置き換えられてしまっています。

もしかしたら、この状態も現代人と重ね合わせることができるのでは、と語り掛けてくるようです。

face

VRシーン体験方法(本作品はHMD/VR体験を推奨)

HMDデバイスをお持ちでPCからアクセスしてる方は、以下の「シーンを体験する」ボタンをクリックしてください(※初めての方は以下の説明もご参照ください)。

PC(Webブラウザ)から「シーンを体験する」ボタンをクリック後、シーンページのVRアイコンをクリックしてください。

スマートフォンからアクセスしてる方は、上記の「シーンを体験する」ボタンをクリックしてください。
*スマートフォンでは作者の意図した体験を再現できない場合があります。

クリック後、以下の画面が表示されます。
スマートフォン版STYLYをすでにダウンロードしている場合「Continue on Browser」を選択してください。

そして「Play on Mobile App」を選択するとシーンを体験できます。

Steam版STYLYをダウンロードする
https://store.steampowered.com/app/693990/STYLYVR_PLATFORM_FOR_ULTRA_EXPERIENCE/

Oculus Quest版STYLYをダウンロードする
https://www.oculus.com/experiences/quest/3982198145147898/

スマートフォン版STYLYをダウンロードする

 

 

シーン体験方法の詳細を知りたい方
VRシーン体験方法については、以下の記事をご参照ください。