この記事では、デジタルアーカイブをVRで表現した作品「P.O.N.D. Virtual World」を紹介します。
この作品はデジタルアーカイブのメディアとなるVRを軸にしながら、3DScanによる作品の3DCG化や、作品自体にゲーム性を持たせることによって、あたらしいアーカイブの可能性を探求した作品となっております。
一つ一つの要素を解説しながらシーンを紹介してきます。
P.O.N.D. Virtual Worldとは
P.O.N.D.とは、2020年10月16日から25日まで渋谷PARCOにて開催されたカルチャーフェスティバルです。アートのみならず、ファッション、音楽、フードなどあらゆるジャンルのフレッシュなクリエイターが参加し、新しい文化を生み出す祭典です。
【パルコのあたらしいカルチャーフェスティバル「P.O.N.D.」誕生!】この秋、アート、ファッション、音楽、演劇など、あらゆるジャンルが交錯するカルチャーの祭典「P.O.N.D.」が始動します。エネルギーあふれるクリエイターたちの作品が渋谷PARCOに集結! #pond #parcoopensnewdimension #渋谷パルコ pic.twitter.com/CdN63QxIOq
— pond_official (@pond_official) September 11, 2020
渋谷PARCOの4FのPARCO MUSEUM TOKYOでは15組のアーティストが作品の展示を行いました。
この展示をオンラインでも体験できるものとして、STYLYで制作されたのが「P.O.N.D. Virtual World」です。
制作は、P.O.N.D.にもVR作品を展示したJACKSON kakiが、全体ディレクション・制作をしました。
渋谷PARCOのカルチャーフェス「P.O.N.D.」のオンライン展示のバーチャルワールドのディレクションをさせていただきました
Archive / World 3DCG/ Music by JACKSON kaki
Photograph by Yukinao Hirai @sanyuhi
VR Platform by @STYLY_VR @pond_official @PARCOMUSEUM https://t.co/P4sL8mHaD5 pic.twitter.com/qmPtx2TBS3— JACKSON kaki (@Kakiaraara) October 16, 2020
サイケデリックを帯びたバーチャル空間
この作品の一番の最初の印象は、鮮やかな原色を使用した配色です。
この配色は、フライヤーのカラーをベースに、ピンク、緑、青、黄色、白を軸としたカラーです。
デザインのアートディレクションは.otdのOta Takumiさんが手掛けております。
鮮やかな配色をベースに、空間設計(レベルデザイン)をする際にリファレンスとして集められたのが、PlayStation / PlayStation2や、PCのゲームでした。
その一部をご紹介します。
一つが、1998年に発売されたサイケデリックなドリームエミューレーターのPlayStation用ソフト「LSD」です。
LSDはサイケデリックな空間を「ただ歩く」だけの作品で、ゲームにおける「謎解き」や「バトルアクション」などが存在しません。
発売当時のキャッチコピーは「こんなのゲームじゃない」でした。
サイケデリックな空間を参考にしてます。
もう一つのリファレンスは、PC用アドベンチャーソフト「BROKEN REALITY」です。
BROKEN REALITYもLSDと同じように、サイケデリックな空間になっています。
デジタルアーカイブとして作品を楽しむだけではなく、空間そのものが作品となり、体験することができるというエクスペリエンスをVR空間にも置き換えて制作しています。
空間そのものも、アートとして置き換えることができ、「P.O.N.D.のプロジェクト自体の世界観を拡張する」ことができました。
アーカイブとしての新規性
そしてこのVirtual Worldでは、新しいアーカイブの可能性を提示してます。
大きくは2つ、iPad Pro2020より搭載されたLiDARを使用した3Dスキャンによる作品のデジタルコピー。
もう一つは、簡単なミニゲームによる、空間の導線の作成です。
この2つを紹介します。
LiDARによるデジタルコピー
このワールドに展示している作品のアーカイブの一部はiPad Pro 2020のLiDARを使用して、3Dスキャンしてデジタルアーカイブ化しています。
このような3D Scanは通常のPhotogrammetryと異なり、直接メッシュを作成し、テクスチャリングしています。
Photogrammetryだと何時間もかかる3Dモデルの生成が数分で完成します。
15個あるアーカイブの作成のうち、3分の2は1日ですべて作り終えてます。
精度の高いPhotogrammetryよりは質は劣ってしまうかもしれませんが、3Dモデルの生成のスピードと、平面などをスキャンする際にはよりクオリティの高いものが作れます。
ゲームによる空間の導線
このシーンがアーカイブとして新規性を高めている一番の要素は、シーン内に簡単なミニゲーム要素があることです。
ウォークシミュレーターとして空間を体験できるのと同時に、空間の導線としてミニゲームが組み込まれています。
VRやバーチャル空間を体験する際に、「どこに行けばいいのか」「目的がわからない」などのUXが明確になりずらいです。
このワールドにおいても、空間として体験しつつも、どこに作品があるのかが最初はわからなかったりします。
そこで今回、空間を体験する導線として「ゲーム」を作りました。
掲示板でのGAMEにもあるように、P.O.N.D.のマスコットキャラクターである、ポンちゃんとドンちゃんを探す、ミニゲームを組み込んでいます。
空間内に20匹のポンちゃんとドンちゃんが隠れています。その20匹をみつけると、空間内に変化する演出が生まれます。
見つけてクリックすると、回転します。
WEBブラウザのUIには、カウントが表示されています。
このように、ゲーム性を盛り込むことによって体験の深度を拡張しております。
シーン
アーカイブの鑑賞の体験に新規性を持たせるべく、さまざまな要素を組み合わせた作品となりました。
P.O.N.D. Virtual Worldを未体験の人はもちろん、そして体験済みの人も、記事を踏まえて新たな発見を見つけるべく、再度このシーンに訪れてみるのはいかがでしょうか?
アートのアーカイブの新しい拡張体験がここにあります。
- スマートフォンから体験する STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。
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