XRにおける空間のデザイン「隙間」/[gap]：しょーろんぽー。

2022年04月11日

この記事ではデザイナー / アーティストの「しょーろんぽー。」さんの作品「隙間」/[gap]について紹介します。

NEWVIEW AWARDS 2021のSILVERを受賞した作品となります。

デザインと空間の観察、そしてXRによる拡張をテーマに作られ、どのように鑑賞していくのか紹介します。

しょーろんぽー。

1 しょーろんぽー。さんについて
2 「隙間」/[gap]について
3 VRシーン体験方法（本作品はHMD/VR体験を推奨）

しょーろんぽー。さんについて

しょーろんぽー。

デザイナー/アーティスト。
ものや現象を観察・分析し、そこから抽出した要素を繋ぎ合わせることを軸にして、制作を行っている。人のものに対する認識を観察の観点に取り入れ、言語学や記号論からのアプローチを探究している。

（NEWVIEW 公式サイトより引用 https://newview.design/works/gap )

Twitter：https://twitter.com/yamucyaoishii
Instagram：https://www.instagram.com/yamuyamu_cya/

活動の軸はグラフィックデザインや、視覚デザインといった作品を作りながら、2021年のNEWVIEW SCHOOLに参加し、VRに取り組み始めました。

2021年
今年はたくさん挫折しましたね
それから沢山遠回りしましたね
ザクッとまとめたので是非見てやってください pic.twitter.com/izEINACzQZ

— しょーろんぽー。 (@yamucyaoishii) December 31, 2021

「隙間」/[gap]について

この作品は「狭い空間」を進んでいく作品です。

最初のシーンは二つのコンクリートの壁の間を進んでいきます。

標識によって、この空間の導線が用意されています。

壁の間を。

進んだ先には大量の標識が眼前を覆います。

停止線、止まれといった標識。一度ここでストップしてみて、周りを見てみるのもいいかもですね。

大量の標識

その奥には小さな穴が。この穴が通り道でしょうか。

通り道？

この道を進んでいくと、そこには…

というように、この作品は日常の狭い場所を進んでいくことを体験する作品です。

作者は以下のように作品を解説しています。

作品のコンセプトは「狭い空間」である。日常的なモチーフや日常的な世界を舞台にし、狭いところを通るワクワク感を楽しむ作品である。
小さい頃を思い出すと、狭い隙間や空間を通りたくなった記憶があった。「狭い」は圧迫感やストレスを感じることもあるだろう。しかし「狭い空間」がリラックス効果やワクワク感与えることもあるのではないだろうか。これまで自分はVR空間の利点は狭い空間にいても、広い世界を見ることができることだと考えていた。それは現実でも狭い空間を広く見せようとすることがあったからだ。けれども、限られた空間を作ることもバーチャルリアリティ上での表現の可能性を秘めているのではないだろうか。
この作品は狭い空間を進んでいくだけである。しかし、進むだけでワクワク感を感じることができるような体験ができるよう心がけて制作をした。私はおもちゃや壮大な仕掛けがなくても、人はワクワクし、遊ぶことができると考える。

（NEWVIEW AWARDS 2021 公式ホームぺージより引用 https://newview.design/works/gap )

XRの体験における「視点」の変容と、空間デザインをベースにした作品です。

VR/ARの空間体験は「空間を拡張させる」ことがポイントとなります。さまざまなアセットやオブジェクトを自由に配置し、現実ではありえない状態を作り出します。

この作品も、現実のオブジェクトや空間をモチーフとしながら、XRによって「新しいデザイン」へと変容させています。それにより、現実の身体を超えた視点を体験することができます。

日常の世界を「観察」することは、私たちが見逃している「世界の一部」を観察することとなります。

しょーろんぽー。さんが観察した「世界の一部」が、作品を通してデザイン化されています。

VRは、一人称によって体験するメディアです。しょーろんぽー。さんが観察した世界を追体験してみましょう。