マルチスピーシーズ時代の想像力をVRで拡張するキャラクターたちとの共同体『Species』:Tomoro Kinoshita

3DCG アーティストのTomoro Kinoshitaによる新作《Species》を紹介します。

近未来的とも、ファンタジーとも言えるようなどこか暖かく優しさを感じるキャラクターや空間を制作するTomoro Kinoshita。新作《Species》では、VRならではの空間を生かしキャラクターたちとの同居を楽しめます。移動や鑑賞が主観的にできるVRのなかで、人間という概念に囚われない存在たちとの戯れは、マルチスピーシーズ*以後の共感性をどのように変化させるでしょうか。

*マルチスピーシーズとは人類学などの領域で使われる、私たちとともに環境を構築する私たちの周りの種のそれぞれが持つ世界認識を探り、共生を志向する概念です。

本作は、NEWVIEW AWARD 2022にてULTRA TOUR Prizeを受賞しました。

先に作品を体験したい方はこちらから

《Species》


《Species》


《Species》


《Species》


《Species》


《Species》


《Species》


《Species》


《Spiecies》

《Species》


《Species》


《Species》

キャプション

この施設では多種多様の生物を飼育、研究している。
ミミズによる腐葉土の形成、自然淘汰による種の選抜、生物の変異など様々な場面を観察できる。
最上部には、隣接する集団と雑種を生じることのできる類縁関係にある一続きの個体群”輪状種”を表すモデルを設置。

人間が手を加えた土地に順応する事が出来ず絶滅する種、現代の環境によって生まれてきた新種、
様々な生命が移り変わるこの今生物について知ることで人類の生活様式を見直すきっかけになれば嬉しい。

鮮やかな色彩と生物が創り出す美しい空間を3D Floor Mapを片手に持ちながら体験してみてください。

Artist Profile

Tomoro Kinoshita

3DCGとイラストを融合させた手法で映像・VR・ARなど様々な作品を制作。
作品には鮮やかな色彩の柄を持つクリーチャーが登場し、情報量の多い密度の高い空間を演出する。
NFTも制作しており、9月にはNew YorkのSuperRare Galleryでも展示を行った。

キャラクターのために/キャラクターによって/キャラクターたちのように……彩られた空間

VRゴーグルをつけて一番最初の光景

体験者は初めに、ひょうたんのように吊り下がるモンスターに出迎えられ、彼らのぶら下がる樹木、あるいはゲートを抜けた先にある「3D Floor Map」を(Grab itと)掴むように促されます。

 

「3D Floor Map」を掴める

この「3D Floor Map」は、文字通り本作のVR空間の立体地図となっています。

TO図やプトレマイオス図、そして大航海時代の地球儀……。

地図とは、そこに住む人たちの交通や流通など、時代や文化やコモンセンスが反映されています。
地図とは、世界はこのようになっていると定義したものでもあります。

VRならではの空間を表象する地図が体験の序盤のこの位置にあるということが、この空間そのものからの「出迎え」を感じさせ、この空間の地図を我々に共有する管理者や先駆者の存在を想像させます。

地図を持って進むと…

地図を持って道を進むと、広大な空間が目の前に現れます。

培養されるミミズ?


ケージからこちらを見るキャラクターたち

そこでは、Tomoro Kinoshitaが継続して作り続けてきた、ユーモラスなキャラクターたちが培養/飼育されていたり、ケージを抜け出して自由に動き回っています。

このキャラクターたちが住む建築物それ自体も、キャラクターの模様やテクスチャと連続した彩りで私たちを包み込みます。

キャラクターでないVR空間の部分も、ある「Species」であるかもしれないものとして、私たちはそれらに囲まれたり、それらの上を登ったりすることができます。

壁の中のケージからこちらを見る人型のキャラクター

比較的人間に近いように見えるキャラクターがケージの中からこちらを見ている様子も、私たち自体もある種でしかないという認識を生みます。

これらのキャラクターたちを見つめる間に、私たち自身も、他の存在からの眼差しに包み込まれるようです。

《Spiecies》

個体群“輪状種”につらなるものたち


抱きしめ合うものたち

キャラクターたちは、抱きしめ合い、円環をなし、この空間を揺蕩っています。

本作《species》の中を回遊するうちに、私たちにあり得る/あり得た過去や未来だけでなく、これまで他種としてみてきた存在や、種として眼差してこなかった物質や環境にまで、祖先や子孫、家族や共同体・共異体があることを想像できます。

VR空間を外から眺める

VRでは発見しにくいですが、本作のVR空間は、地図で示される外の場所にも展開されています。

部屋の外には細胞膜のようなベール、線状のチューブなどのオブジェクトがあります。その外には、実写で映された草原と森林が見えます。

VRシーン体験方法

スマートフォンからアクセスしてる方は、そのまま「シーンを体験する」をクリックしてください(※初めての方は以下の説明もご参照ください)。
シーンを体験する

クリック後、以下の画面が表示されます。
スマートフォン版STYLYをすでにダウンロードしている場合「STYLYアプリで再生する」を選択して体験ください。

JP_MobileApp

HMDデバイスをお持ちの方は、PC(Webブラウザ)から「VRで体験」を選択してください。

JP_VR_WebGallery

 

Steam版STYLYをダウンロードする
https://store.steampowered.com/app/693990/STYLYVR_PLATFORM_FOR_ULTRA_EXPERIENCE/

Oculus Quest版STYLYをダウンロードする
https://www.oculus.com/experiences/quest/3982198145147898/

シーン体験方法の詳細を知りたい方
VRシーン体験方法については、以下の記事をご参照ください。

Edited by SASAnishiki