この記事では XRエンジニア/アーティストの「ふしっきー」さんによるXR作品「クソコラランド」について紹介します。
顔写真を使った狂気のXRを体験してみましょう!
ふしっきーさんについて
株式会社CyberHuman Productionsにてバーチャル撮影のシステム構築を担当。ARグラスアプリ制作など社内外でAR案件に携わる。
Dance withARハッカソンで優勝後XR JAPANというチームを結成し、XRとパフォーマンスを組み合わせた新しい表現を研究中。NEWVIEW SCHOOL第3期生。(NEWVIEW AWARDS 2021 公式サイトより引用 https://newview.design/works/%e3%82%af%e3%82%bd%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%89/ )
Twitter:https://twitter.com/fusikky
ARの技術を駆使し、ダンス/身体パフォーマンスの可能性について探求する活動・制作を行い、さまざまな作品も発表してきました。
その代表作の一つに「XR JAPAN」の活動があります。
XR JAPANは「XR×パフォーマンス」を掲げるクリエイティブレーベルです。XR JAPANから「パフォーマーの表現を拡張するARフィルターアプリ」として「ARIVE」をリリースしました。
【ダンサー向け×ARアプリ、リリースのお知らせ🎉】
XR JAPANがこれまで制作した
クリエイティブをまとめた、
ARアプリ"ARIVE"をリリースしました!プロパフォーマー監修の様々なARエフェクトを楽しめます^ ^
ダンサー・パフォーマーの皆様、
ぜひ使ってみてください🔥 https://t.co/lFLJQLvosp pic.twitter.com/zPa5xJVhPC— XR JAPAN 🇯🇵 (@xr_japan) November 16, 2021
ふしっきーさんの作品は身体を使った作品が多いなか、今回は全く違うテーマとモチーフで「クソコラランド」を作り上げました。
クソコラとは?遊園地なのか?XRをどのように取り入れているのか?
作品の楽しみ方からポイントまで解説していきます。
クソコラランドについて
この作品はスマートフォンで楽しむ作品です。
スマートフォンで撮影した顔写真がコラージュされる遊園地の作品です。
言葉で説明しても伝わらないことが多いと思うので、一度ふしっきーさんが用意した動画を観てみましょう。遊び方の全体概要が解説されています。
いかがでしょうか。情報量が多過ぎてツッコミが追い付かないです。
ふしっきーさんは以下のように説明しています。
夢の国に行けるパスポート、ご用意しました。あなたの写真からパスポートを作りましょう。
さぁ、あなたはワクワク胸を踊らせながらゲートをくぐります。しかしあれあれ?
不思議の国に迷い込んでしまいました。どんな国かって?それは「あなただけ」しか体験できない世界です。
不思議の国の奇妙な体験をお楽しみください。(NEWVIEW AWARDS 2021 公式サイトより引用 https://newview.design/works/%e3%82%af%e3%82%bd%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%89/ )
ARの技術を使い、現実の「顔」をVRの遊園地に当てはめることによって、狂気の世界を誕生させています。
その狂気はどんなイメージを構築するのか、クソコラと「顔」にフォーカスして説明します。
クソコラとは
主に該当するのは糞なコラージュイラストを指す事に由来する。
どうしようもないギャグとしてさくっとコラージュされたネタ画像。
主にアニメや漫画のキャラクターの画像や、実在の人物の写真等を素材とし、素材の状況を活かしたり逆手にとったりしたツギハギな作風である場合が多い。
散々なコラージュをする事自体がネタなのでいかに笑わせるかが勝負。
そのくだらなさと特に敬意などをかなぐり捨てた作風は人を選ぶため、作者達自身がジャンル名を制定したりクソコラを宣言するというゾーニングの風潮が出来上がっている。
また、TwitterなどのSNSなどでは、新たなネタが発見されると唐突に謎のグランプリが開催される事もあり、その中にはISISをいじった大会が開かれたことがある。( ピクシブ百科事典「クソコラ」より引用 https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%A9 )
インターネット上のコラージュとして生まれたのが「クソコラ」です。
「雑でいい」という手軽さと、「雑だからこそいい」のイメージによってクソコラは一つの概念に昇華されました。
現在ではYoutuberなどもクソコラをテーマとして扱ったりしています。
クソコラ見る投稿!
今年も力作揃いでした。よしなまのクソコラがハイレベルすぎるwwwhttps://t.co/zs2W6gLSYX pic.twitter.com/yDJjZ2xOIm
— よしなま(25歳) (@yosi980) January 15, 2022
クソコラに見出される「狂気」
ふしっきーさんはクソコラの概念をXRに落とし込み、それをただのエンターテインメントではなく、狂気を感じさせる作品に仕上げました。
その狂気性は「顔」にフォーカスされています。
自分の顔がクソコラされたキャラクターや遊園地のオブジェクトに現れます。
私たちは普段見慣れている「人の顔」が変形したり、別の状態に変容したとき、その違和感が「不安」へと変化します。
その不安は時に「狂気」に感じるときもあります。
この考え方を使用したアーティストのひとりにDJ / エレクトロニックミュージシャンの「Aphex Twin」が挙げられます。
彼はテクノやハウスといった従来のクラブミュージックを破壊させ、新しい音楽の構造を作ることを追求してきました。
その過程で生まれたデコンストラクトなサウンドに狂気性を見出し、ビジュアルアートもそのサウンドを表象するような狂気的な作品が多いです。
代表作の一つにAphex TwinのMusic Video「Come to Daddy」(監督:Chris Cunningham)が挙げられます。
サムネイルからわかるように、幼児の顔に「Aphex Twin」本人の顔が「コラージュ」されています。
「顔」をモチーフにし、オブジェクトとして取り扱った状態に変容させることで、不気味さのイメージを生み出しています。
加えて、「幼児」もキーポイントとなります。
ふしっきーさんが作る「遊園地」のモチーフはある種の「非日常性」や「あどけなさ」、「幼さ」を象徴する空間といえるでしょう。
Aphex Twinの「Come to Daddy」に登場する幼児もまた、「あどけなさ」「幼さ」の象徴とも捉えられます。
幼さ、あどけなさのモチーフと、人の顔の不気味さが融合されることにより、狂気性が相乗効果を発揮しています。ふしっきーさんが生み出す狂気はここに通ずるのではないでしょうか?
ARとしての「現実」とVRとしての「仮想」をコラージュすることによって、従来の2Dで表現されていたクソコラを超えたイメージとなっているのではないでしょうか。
クソコラという概念を拡張させ、私たちの未知なる領域へ踏み出す体験となっています。
是非体験してみましょう!
シーン
クソコラによるXRの作品「クソコラランド」を紹介しました。
クソコラを拡張させ、狂気へと昇華した作品を是非いろんな角度から鑑賞してみましょう!
- スマートフォンから体験する STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。
作品のダウンロードが完了したら、以下の画像をクリックし、シーンにアクセスします。シーンページのQRコードを読み取ると、作品が鑑賞できます。