AIが生成する「存在しない人」を利用した作品制作【著作権フリー素材】

作品制作においてフリー素材を利用する場面は多いです。その中で、新たな著作権フリーの素材として登場したのが「人の顔」です。

この男女の画像は著作権フリーで、自由に利用できます。なぜなら、この人たちはAIによって生成された「存在しない人」だからです。

この記事では、「存在しない人」を提供するサイトの紹介と、利用例を示し、作品作りの新たな可能性を見出すことを目標とします。

「存在しない人」とは

概要

「存在しない人」は、AIの画像認識・処理の技術によって、生成された人の画像を指します。
本人から許可を得て、収集された現実の人の顔写真を機械学習によって処理し、生成した架空の存在です。そのために、肖像権は存在せず、提供するサイトの規約さえ守れば、著作権フリーで利用できます。
個人での利用はもちろん、商用利用もできます(※サイトによって規約が異なるため、各サイト毎、規約をしっかり確認しましょう)。

これらの画像は、ディープラーニングアルゴリズム「Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク(略称:GAN)」を利用し、AIによって生成されています。
GANは2014年に、イアン・グッドフェローを中心に発表されたニューラルネットワークを用いた人工知能アルゴリズムの一種です。現在もGANを利用した画像生成の技術は研究・開発されています。広告やプレゼンなどで利用されたりするケースが多いですが、今回はVR作品での素材として利用したいと思います。

 

AIによって生成された存在しない男性

 

素材提供サイトの一例

「存在しない人」はインターネット上に素材として提供するサイトがいくつか存在します。そのサイトの一例を紹介したいと思います。

今回紹介するのは、写真素材を無料で提供する素材サイト「写真AC」です。この記事の最初に紹介させていただいた存在しない人の画像もすべて、写真ACの素材です。

写真ACのサイトはこちら

写真AC・トップページ

 

写真ACが提供する「存在しない人」のページはこちら

サイトのページでは、「AIで顔を作る!」というボタンがあり、ここをクリックすれば画像が生成されます。「ダウンロード」をクリックすればpng形式で保存できます。1日50回までしか生成できないので注意しましょう。

 

利用の際には、禁止事項がいくつかあるため、規約を確認してから利用しましょう。

写真ACが提供する存在しない人

今回は写真ACのみの紹介ですが、他にも様々な「存在しない人」のサイトはあります。また別の記事で紹介したいと思います。

では、これらの画像を利用して作品を作る際の利用例を2つご紹介したいと思います。

STYLYでの利用例① -画像利用

STYLYでは画像をアップロードして、VR空間上に配置できます。

アップロードと配置の仕方は、MANUALの「取り込めるアセットを理解しよう」の「image」のページを参照してください。

実際に配置してみました。

画像をアップロードし、STYLYの既存のアセットに組み合わせるだけで、かなり強烈な世界観を演出できます。
加えて、STYLY上のアセット「FILTER」を利用すると、サイケデリックな世界観も作れたりします。

FILTERの利用方法は、MANUALの「3D Modelの挿入」を参照してください。

実際にFILERの「PostEffect Psychedelic」を使用してみました

 

これは夢に出てきそうですね。インターネット上で話題になったフリーゲーム「ゆめにっき」や、カルト的な人気を誇るPSゲーム「LSD」などの世界観が好きな方は、この雰囲気は好きではないでしょうか?「存在しない人」を利用し、STYLY上だけで簡単なサイケデリックなVR空間を作ることができます。

STYLYでの利用例① -3Dモデル利用

画像だけでも十分な存在感を発揮することができる「存在しない人」ですが、3Dモデルとして配置することでより強烈な存在感を発揮します。
今回は画像一枚から3Dモデルを生成することのできるサービス「Smoothie-3D」を利用します。

具体的な使用方法は「画像1枚から3Dモデルを作成できるSmoothie-3Dを使ってみた」を参照してください。

実際につくってみました

 

BEFORE

 

AFTER

かなり怖いですね…インパクトも強烈です。
今回はSMoothie-3Dでの作ったため、顔の凹凸が反映されず、抱き枕みたいな形になってしまいましたが、顔のテクスチャもしっかり反映できるような記事もいつか書きます。

以上がSMoothie-3Dを利用しての、「存在しない人」の3Dモデルの作り方でした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「存在しない人」は著作権フリーの自由に利用できる素材です。VR空間でアート作品を手掛ける際に、人を素材として利用することで、新たな可能性が開かれるではないでしょうか?

美術史上でも人を対象とした美術作品は多く存在してきました。モナリザを手掛けたレオナルド・ダ・ヴィンチや、キュビズムの手法を取り、抽象的な作品を手掛けたピカソなど、様々な時代・国において「人」は芸術の対象になってきました。
現代においてAIによって生成された「存在しない人」は果たして本当に「人」なのでしょうか?私たちは何をもって「人」を「人」ととらえているのでしょうか?
現代のテクノロジーによって我々が考える「人」の在り方が問われているような気がします。

今回ご紹介した「存在しない人」を利用し、「人」とはどういった存在なのか、と考えながら作品を制作してみてはいかがでしょうか?もしかしたら何か面白いアイディアが生まれるかもしれません。

今回は存在しない「人」を取り扱いましたが、他にもGANによって生成される様々な画像を取り扱っていきたいと思います。ぜひまた読んでみてください。

また、今回制作したSTYLYの作品は「SONZAISHINAI-HITO=NO-WORLD」という名前で公開しております。
よかったらVRで体験してみてください。