前回に引き続き、VR空間でペイントができるソフト「Tilt Brush」を使って、“VRマンガ”の制作に挑戦していきます!
この記事では完成したマンガ、そしてその制作方法を紹介していきたいと思います。
では早速、VRマンガ“Apple Bunny” #3 をごらんください!!
VR環境をお持ちの方はSTYLY Galleryへ☞ http://gallery.styly.cc/OEKA_AKI/642091c0-e047-11e8-b34d-4783bb2170d0
“Apple Bunny” #3
つづく
今回はあえて背景を控えめに、キャラクターの動きや展開の緩急でテンポよく進むようにイメージして描きました!
それでは今回は背景と地形について中心に書いていきたいと思います!
早速、制作方法の紹介にいきまーしょう!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
背景の描き方
背景については、基本的にはTilt Brushで自由に3次元空間を作っていく作業になるので、自分の感性で自由に描いちゃいましょう!
この段では効率よく作業を進める方法、気をつけるべき点などをご紹介しようと思います。
題材によって当然描くものは変わるわけですが、少しでも参考になれば嬉しいです!
縁取りされる筆を使う
第1回でご紹介した“Toon”ブラシは、立体的でありながら黒で縁取ってくれる非常に有用なブラシです。
しかしながらブラシ自体の形状は丸みを帯びているので、角ばった建造物をそのままかたどるのは少々難しいです。
上手くToonの特性を生かしながら家を描いてみましょう!!
上図では、Toonを家の柱に見立て、壁をMarkerで埋めています。
直方体の四辺をToonが担うだけで家全体が縁取りされた状態になっていますね!
ブラシの長所・短所をよく理解して、色々な組み合わせを試してみるのは非常に大切です。
ポリゴンの筆を使う
立体的な空間を作るには、ポリゴンの筆がオススメです!第1回でご紹介した、“Unlit Hull”を使用すれば感覚的に立体を生成できます。
ポリゴンを作るブラシは、トリガーを長押ししている間にブラシが通った座標をつなぐ面で覆われたブロックを作り出します。
これを使えばビルや家などの建造物、家具、岩場や樹などの自然物も短時間で作れます!
ただし縁取りはされませんので、工夫して縁を描くか、遠景など線画のいらないシチュエーションで用いると効果的です!
複製する
ビル群や森林など、同じようなものが立ち並ぶシチュエーションはどんどん複製を使っていきましょう!
※複製のやり方はTilt BrushでVRイラストを描いてみよう!【上級編】の「4.選択ツール」を参照してください。
平面のイラストと違い、複製されていても見る角度や距離が違うと別物に見えます。
恐れることなくガンガン複製して空間を広げて行きましょう!
【注意!】複製はできるだけ軽いオブジェクト、数は必要最小限にしておきましょう!!
描き込んだものを複製するとあっという間にデータ量が膨れ上がり、STYLYにうまく読み込めない等の不具合の原因になります。
上図の森の場合は、できるだけ複製数を減らすため、遠景が見えにくいように濃い霧を張るなどの工夫をしています。
データ量の管理もマンガが長くなるほど大切になってきますが脱線しそうなので、このあたりの話は第4回、第5回で詳しくご紹介したいと思います。
地形の作り方
今回制作中のVRマンガは歩きまわって読んでもらう手法を取っているため、コマや絵だけでなく様々な地形も用意する必要があります。
Tilt Brushで描いた絵は、STYLY上では物体として壁にしたり床にしたりすることができます。
これを上手く使うことで読者を上空へ連れて行くことができますし、壁を作って行動を制限することもできます。
Tilt BrushのブラシのSTYLY上での性質にはいくつか特徴があります。
今回はその特徴をご紹介したいと思います。
ブラシには表裏がある
例えばフラットな筆で面を描いた場合、一見すると両面どちらから見ても違いはないように見えます。
しかしSTYRY上では、表側には移動時の判定が発生し、裏側は発生しない(突き抜ける)という性質が生まれます。
フラットな筆の場合、Tilt Brushで描いた時の手前側が表(判定あり)側になります。
壁や床、階段を作りたいときは裏表に注意しましょう。
またポリゴンの筆の場合は、外側が表側、内側が裏側になります。
確実に判定のあるオブジェクトを設置したい場合はポリゴンの筆を使った方がよいでしょう!
上に乗れる角度
床を傾けて坂を作る場合は注意が必要です!なぜなら、一定以上の角度の坂には乗ることができないからです。
登らせたり下らせたりする場合は基本は階段等の足場が平らなものが無難です。
また平面のつもりでも、表面がいびつだと急な角度の集合になってしまい、上に乗れない事態が発生する可能性があるので注意しましょう。
逆に、上に乗れないことを利用して、進んでほしくない場所に急な坂を設置し行動を制限することができます。
例えば、壁際に寄ると手だけ壁を突き抜けて壁の向こうにテレポートしてしまう場合があるので、それを防ぐために坂を設置します。
地形のデータを分ける
ここまで説明したブラシの性質は、条件によってはSTYLYに上手く反映されないことが確認されています。
原因はわかりませんが、大きいデータをアップロードした場合におかしな挙動になることがあるようです。
想定とは違う判定になってしまうとマンガの進行に大きく影響してしまいます。
大きなデータになってしまった場合はできるだけ小分けしてSTYLYにアップロードしましょう!
小分けにするのは手間がかかってしまう場合でも、せめて地形のデータは別にアップロードしたいところですね。
今回はここまでです!
マンガの描き方とはちょっと脱線した話になってしまいましたが、Tilt BrushでVR空間を作る時に少しでも役に立ったら嬉しいですね!
次回は「ページめくり」を題材に、VR空間でどう表現していくかを考えてみたいと思います!!
では第4回をお楽しみに!!ヾ(≧▽≦)ノ