IllustratorのパスをBlenderで立体化する

この記事ではIllustratorで作成したパスを、3DCGソフトBlenderにインポートして立体化する一連の流れをご説明します。

モデルの完成イメージ

モデルの完成イメージ

Illustrator上で3Dモデルを制作する方法については、以下の記事をご覧ください。

Illustratorでパスを準備する

まず、立体化したいデータが正しくパスになっているか確認します。下の画像の赤丸部分のように、線をクリックしたときに青色の線とともに「パス」と表示されていれば、パスになっています。

Illustratorでパスを確認する

Illustratorでパスを確認する

[ファイル]→[書き出し]から[書き出し形式]を選択します。

書き出し形式を選択する

書き出し形式を選択する

拡張子を.svgにして書き出しをします。

svg形式で書き出し

svg形式で書き出し

Illustratorでの作業はこれで終了です。次にBlenderでの作業へ移っていきます。

Blenderにインポート

Blenderのバージョン・操作

今回利用するBlenderのバージョンは2.80です。Blenderのインストール、日本語化の手順については以下の記事をご覧ください。

また、今回利用する主な機能のショートカットキーは以下の通りです。

  • 全選択:Aキー
  • 削除:Xキー
  • 移動:Gキー(直後にX、Y、Zキーでその軸方向に移動)
  • 回転:Sキー(直後にX、Y、Zキーでその軸中心に回転)
  • 拡大・縮小:Sキー
  • オブジェクトモード/編集モードの切り替え:Tabキー
  • 視点を前からに変更する:テンキーの1キー
  • 視点を横からに変更する:テンキーの3キー
  • 視点を上からに変更する:テンキーの7キー

これらは他のチュートリアルでもよく使うショートカットなので、覚えておくと便利です。

インポートする

Blenderを起動したら、中央に配置されている立方体を選択し削除して、[ファイル]→[インポート]→[Scalable Vector Graphics(.svg)]をクリックします。

svgのインポート

svgのインポート

元データの大きさによってはとても小さくインポートされる場合があるので、オブジェクトモードで選択した状態で適当な大きさに調整します。

サイズ調整前

サイズ調整前

読み込まれたデータは、左上端が原点(オレンジ色の点)になるように配置されています。これでは少々扱いにくいため、原点が中央になるようにします。

原点が左上端に

原点が左上端に

[オブジェクト]→[原点を設定]から[ジオメトリを原点に移動]を選択します。

ジオメトリを原点へ移動

ジオメトリを原点へ移動

モデルが移動して、原点が中央になりました。

中央に配置

中央に配置

Blenderでモデルを調整する

カーブからメッシュへの変換

編集モードに切り替えると、このようにIllustratorと同じようにベジェ曲線で構成されているのが分かります。

ベジェ曲線=カーブ

ベジェ曲線=カーブ

この状態をBlenderでは「カーブ」と呼びます。カーブのままではこの後の処理が行えないため、[オブジェクト]→[変換]→[カーブ/メタ/サーフェス/テキストからメッシュ]を選択し、カーブをメッシュ(通常のモデリングと同じ状態)に切り替えます。

カーブからメッシュ

カーブからメッシュ

すると以下のような状態に変わります。

メッシュ化した直後

メッシュ化した直後

頂点の数を減らす

今回のように元データの頂点数が多いパスは、メッシュの並びが汚い状態になってしまいます。これを修正していきます。

右側のツールバーから六角レンチのアイコン(モディファイアタブ)を選び、「ポリゴン数削減」というモディファイアを追加してください。

モディファイアタブ

モディファイアタブ


モディファイア「ポリゴン数削減」

モディファイア「ポリゴン数削減」

追加した後、オブジェクトモードに切り替えて「比率」の数字を減らしていきます。形が大幅に変わらないところで止めます。

モディファイア「ポリゴン数削減」

モディファイア「ポリゴン数削減」

「適用」し、編集モードに切り替えると、メッシュの数が少し減っているのがわかります。

ポリゴン数が減った

左右対称にする

左右対称にしたい場合は、モデルの左半分を削除する必要があります。そのために、モデルの中心に境界線を引きます。

まず、Kキーを押して「ナイフツール」に切り替えます。Kキーを押したあとドラッグしEnterを押すと、以下のように面・辺を一直線上に切り分けることができます。

ナイフツール

ナイフツール

ナイフツールを使いざっくりと半分に切り分けます。

中央に線を引く

中央に線を引く

範囲選択(Bキー)を押したあと左半分を囲うようにドラッグし、左半分の頂点を選択します。

左半分を選択

左半分を選択

選択した頂点を削除すると、右半分だけの状態になっているはずです。

右半分のみ

右半分のみ

モディファイアタブから、「ミラー」というモディファイアを追加します。

モディファイア「ミラー」

モディファイア「ミラー」

左右対称になりました。

左右対称

左右対称

平面から立体に

今回はモデルが蝶なので、飛んでいる蝶にしようと思います。

先ほど左右対称にしたので、編集モードで右側を編集すると左側は自動で左右対称になります。

前からの視点に変更した後、右側の頂点を全選択し、Rキーで回転をします。

Y軸中心に回転

Y軸中心に回転

このままでは中央が分離してしまうので、上からの視点に変更して左側に移動することでくっつけます。

X軸方向に移動

X軸方向に移動

このように、蝶を立体化することができました。

立体化した蝶

厚みをつける

厚みがなくペラペラな状態なので、厚みをつけます。

一定の角度から見るとペラペラ

一定の角度から見るとペラペラ

モディファイアタブから、「ソリッド化」というモディファイアを追加します。

モディファイア「ソリッド化」

モディファイア「ソリッド化」

幅を調整すると、以下のようにペラペラだったオブジェクトに厚みがつきました。

厚みがついた

厚みがついた

STYLYにアップロードする

STYLYにアップロードする方法は以下の記事をご覧ください。

完成!

完成!

今回はインポートしたパスを3Dモデルにしたあと、左右対称にして羽を立てるということを行いましたが、他にもモデルによっていろんな処理ができると思います。 平面のものでも立体化することでさらに表現の幅が広がるので、ぜひお試しください。