この記事では3DCGアーティストのでんすけ28号さんが制作した、バンド「NINJAS」の楽曲「SOCCER」のVRシーンをレビューします。
CGアーティストとして活躍するでんすけ28号さんが制作したVR作品の1つであり、MVがベースとなったワールドをVRとしてどのように昇華しているかについて紹介します。
でんすけ28号さんについて
でんすけ28号
1993年東京都生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒。幅広い領域でのクリエイションを求めて、さまざまな分野で企画、演出などを手掛ける。ビデオゲームのバグ的表現を用いて既視感覚に基づいたイメージを可視化する作品シリーズ「BUGGY OBJECTS」の展開や、自身のアバターである「Magic Bibby」を主体としたプロジェクトも行っている。
でんすけ28号 TumblrのAbout より引用 ( https://densuke28.com/about )
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でんすけ28号さんが手がけたほかの作品には「Qiezi Mabo Forever – VR ver.」などがあります。
この作品もNINJASのSOCCERと同じようにSTYLYで公開されているVRシーンです。
特徴的なカラーリングとシェーディング、ローポリ3DCGの使用、個性的なキャラクターとムーブ、オルタナティブな3DCGの表現によって独自の世界観を構築しています。
NINJASについて
【NINJAS】謎多きバンド。
“We like what you don’t like.”
〈あなたの嫌いなもの が好き〉をスローガンにライブハウス、クラブ、ギャラリーなど場所を問わず奇妙な音楽をばらまく。2015年5月半蔵門ANAGRAにて1stアルバム 「DORON」“Release Exibition”開催。7日間に渡り約10名のクリエイターによるアルバムアートワークの展示を行う。初日にはDJ、ライブペイントを交え自身のライ ブを敢行。多くの反響を呼ぶ。時代に左右されるどころか逆行するサウンドで一部の音楽ファンを魅了している。ある者はパンクと言い、ある者はニューウェー ブと言うが、彼らにとっては関係ない。
音楽、ビジュアル、活動全てが唯一無二【NINJAS】
-奴らの影を追え。
P-VINE HP / NINJAS – アーティストページより引用 ( https://p-vine.jp/artists/ninjas )
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SOCCERについて
シーンを起動すると、サッカースタジアムが舞台の世界が広がります。
でんすけ28号さんの作風である、シンプルなカラーリングとローポリ3DCGで構成されたサッカー選手がスタジアムに配置されています。
そして中央にはスクリーンが配置され、サッカー選手たちが地べたに座りモニターを鑑賞しています。
モニター映し出されているのは、SOCCERのMVです。このMVのメインシーンとなったサッカースタジアムがこのVRの舞台となっています。
まるでMVの世界に没入する体験です。
MVはYoutubeに公開されています。
Unityなどのゲームエンジンを使用して制作されたMVをVRで体験できる作品は、まだ多くはないですがSTYLYにいくつか公開されています。この作品もその一つです。
映像作品としてだけではなく空間作品として鑑賞ができ、体験が拡張されます。
VR空間に立つことで自由な視点を獲得することができます。でんすけ28号さんが制作した空間を、カメラで切り取られた画を鑑賞するのではなく自分が移動したい場所に移動し、観たい角度から鑑賞することができます。
とくにこのシーンであれば、でんすけ28号さんの特徴である「バグ」を自由に鑑賞できます。
VRで鑑賞することで、目の前で「バグ」を鑑賞でき、その大きさや迫力は、映像では体験できない臨場感です。
そして、この作品はいわゆるゲーム的なバグのみならず、メタ的なバグも存在します。
それは「モニターを鑑賞する選手たち」です。
サッカーはグラウンドに立ち、真剣に試合をするスポーツです。
しかし、サッカー選手たちはそのグラウンド上にリラックスした姿勢で座り込み、MVを鑑賞しおり、その姿は家族団欒で食卓を囲みテレビを鑑賞する家族や友人同士の集まりのようにみえます。
真剣勝負をするスポーツの場で、「ありえない状況」をVRで作っています。
バグはシステムに対するカウンターとしてポスト・インターネットの文脈で語られることがあります。
システムやルールの制作者の意図しない状況を作り出すことによって、思想や精神性を見出す作品が過去に多く制作されてきました。
でんすけ28号さんのバグやスポーツを放棄した選手たちは、NINJASが歌う「You can buy gold medal, Sucker」のアンチ・スポーツマンシップの世界観を描いているかように読み取れます。
NINJASの音楽を通して表現される世界観と、でんすけ28号さんが生み出す「バグ」が化学反応を起こし、あたらしいVRでの表現が生まれています。
シーン
でんすけ28号さんの作る世界をどのように鑑賞するのかについて紹介しました。
上記以外観点のみならず、じっくりと鑑賞することで、新しい発見があるかもしれません。
- スマートフォンから体験する STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。
作品のダウンロードが完了したら、以下の画像をクリックし、シーンにアクセスします。シーンページのQRコードを読み取ると、作品が鑑賞できます。