3次元空間におけるオーディオビジュアルの追求「VR CYPHER」:Eguo

この記事ではNEWVIEW CYPHER 2021に参加したオーディオビジュアルアーティストのEguoさんの作品「VR CYPHER」を紹介します。

NEWVIEW CYPHERはXR活動以外の場で活躍するアーティスト・クリエイターがSTYLYを使ってXRを制作するプロジェクトです。

12名のアーティスト・クリエイターが参加し、そのシーンのレビューをPick Up Sceneで取り上げていきます。

第二回目はモーショングラフィックアーティストの「Eguo」さんの作品です。

Eguoさんについて

Eguo

東京出身のAudiovisual Art / Electronic Music制作者。

これまでにVideo Bouillon(ヴィデオブイヨン)名義で自作の電子音楽と映像を融合させたビデオ作品を数々発表。
2017年、オーディオビジュアル・ライブパフォーマンスの活動を開始。恵比寿リキッドルームや音楽動画メディアBoiler Room/DOMMUNEなどでライブを行う。
2019年、音楽アルバム『Digital Maze』と4本のMVをリリース。その他VJやフライヤー/ポスターなどのアートワーク、YouTubeのインタビュー番組ニートtokyoに所属するなど多岐に渡って活動中。10代の頃はラップをしていた。

Twitter : https://twitter.com/videobouillon
Instagram : https://www.instagram.com/eguo_videobouillon/
HP:https://www.videobouillon.com/

過去にはセルフプロデュースしたエレクトロミュージックのEPをリリースし、そのオーディオビジュアルも自身で制作しています。

 

“VR CYPHER”について

作品がはじまると、キューブの空間に出現します。最初の看板には楽しみ方の看板が掲げられています。

入口

カメラが移動し、上の空間に移動すると、宇宙のような場所に移動します。

すると、VRゴーグルをつけた宇宙人たちがパーティクルを発生させながら、ただずんだり、踊ったりしています。

宇宙人たちの空間

VRゴーグルを装着しこの空間を移動すると、その位置によって発生する音が変化していきます。その音はまさに宇宙人から発生されています。

シンセサイザーのメロディを発生する宇宙人、特殊な声でラップのMCをする宇宙人、ドラムマシーンでリズムを作る宇宙人、そして強烈なガバのキックサウンドを発生する宇宙人。

その宇宙人と自分の位置の距離によって発生する音が変化していきます。

また、コントローラーのトリガーボタンを押し込むことで、音と光を発生させます。そのインタラクション性があることで、鑑賞者独自の音楽を自ら構築することができます。

音と光の変化

この作品は、VRを装着する行為が自分の身体を楽器/DTMへと変化させる行為を体験する作品となっています。

EguoさんはAudioVisual Artistの肩書で活動してきました。

元来、AudioVisualは、クラブミュージックやエレクトロミュージックと映像などのビジュアルを組み合わせた表現です。

その多くは、Music VideoやVJなどの2D表現として語られています。

しかし、多くはタイムラインとフッテージ(映像素材)を組み合わせた作品が多いです。鑑賞者にとってはインタラクティブ性が少なく、表現者→鑑賞者への一方的な鑑賞体験となっています。

VRとゲームエンジンのシステムを使うことによって3次元空間での体験、そして一方的な音・ビジュアルの鑑賞ではなく、移動・ボタンの入力による空間と音の変化を鑑賞者自身が起こすことができる相互的な鑑賞体験ができます。

オーディオビジュアルはクラブミュージックのサウンドを拡張する行為です。視えないものを視覚化する試みです。

ビジュアルとは…

“目に見えるさま。視覚的であるさま。”

(小学館「デジタル大辞泉」より引用)

と定義付けされています。

しかし、EguoさんのXRの作品はビジュアルを超えた体験となっています。身体的な体験やインタラクティブ性を伴った体験など、視覚のみで定義できる領域を超越しています。

クラブミュージックは本来、クラブの空間を伴った音楽体験です。そこに発生するインタラクティブ性を観察し、どのようにデジタライズしていくかが体験の重要な要素となります。その解釈と表現こそが、その作者のクラブミュージックの表象だと考えられます。

音楽とVRの融合によってどのようにクラブミュージックに変化をもたらしていくのか、そしてアートとしての表現が拡張されていくか今後のポイントになっていくと感じられます。

Eguoさんの作品はその表現において、鑑賞者の身体性・インタラクティブ性を伴ってクラブミュージックを一方的な鑑賞にとどめず、作者の手を離れ鑑賞者個々人の体験を生み出すことができます。

実際にVRでアクセスし、自分だけの体験を見出してみましょう。

シーン

クラブミュージックとオーディオビジュアルの新規性をどのように体験していくのか、作品を鑑賞して想像を膨らませてみましょう。

上記以外観点のみならず、じっくりと鑑賞することで、新しい発見があるかもしれません。

 

  • スマートフォンから体験する

    STYLY Mobileをダウンロードし、シーンを立ち上げましょう。ダウンロードの方法は以下の記事を参考にしましょう。

作品のダウンロードが完了したら、以下の画像をクリックし、シーンにアクセスします。シーンページのQRコードを読み取ると、作品が鑑賞できます。

  • PC / VRからシーンを体験する

    以下の画像をクリックするとSTYLY GALLERYのシーンのページへアクセスします。機器を選択し、体験しましょう。

    VR CYPHER