BlenderのアドオンはBlenderの機能をさらに拡張し、多様な機能を利用可能にする仕組みです。
外部から導入できるアドオンとは別にBlenderは多くのアドオンを内蔵しており、追加ダウンロードなし&無料で使用することができます。
この記事ではそれらの内蔵アドオンについて解説しています。
アドオンとは
Blenderのアドオンとは、前述の通りBlenderの機能を拡張したり新しい機能を追加することができる仕組みのことです。
アドオンはその性質上、万人向けではない機能や特定の処理に特化した機能など、Blender本体とは分離して管理されています。
翻訳されていない機能も多く、動作が不安定な場合もあるほか、書籍やインターネット上の解説などでもアドオンを有効にしていることはほとんど想定されていないので、説明と実際の画面が異なる場合も起こることから、アドオンの使用は上級者向けと言えます。
しかし、特定の使用シーンでは便利なアドオンも多く、アドオンを使用することでさらにBlenderをパワーアップすることができるので、ぜひ使っていきましょう。
アドオンの設定
全てのアドオンは、専用の画面から有効にすることができます。
「編集(Edit)」から「プリファレンス(Preferences)」を選ぶとプリファレンス画面が表示されます。
ここで、アドオン(Addon)ボタンを押します。
アドオン名の横のチェックボックスをチェックするとアドオンが有効になります。
Blenderの場合、再起動をしなくてもその場でアドオンがロードされ有効になります。
しかし、場合によってはエラーなどが発生する場合がありますので、有効・無効にした場合は念のためBlenderの再起動を推奨します。
アドオンの「▶」ボタンを押し、アドオンの情報を表示すると以下のような項目が表示されています。
- 詳細(Description)- アドオンの概要です。
- 場所(Location) - アドオンの機能を見つけられるメニュー項目などの場所が示されます。
- ファイル(File) - アドオンがインストールされたスクリプトの場所を表示します。
- 作者(Author) - 作者名です。
- バージョン(Version) - アドオンのバージョンです。
- 警告(Warning) - 不安定であるなど警告がある場合はここに表示されます。
- インターネット(Internet) - ドキュメントへのリンクやバグ報告のフォームなどへのリンクを開くボタンが表示されます。
またその下にアドオン独自の設定事項などが表示されている場合があります。
ここではアドオンの設定を行うことができます。
アドオンの状態
アドオンは大きく三つの状態に分かれています。
1のボタンを押すと「公式」、「コミュニティ」、「テスト中」を切り替えることができます。
また、シフトを押しながらボタンを押すと複数のカテゴリを指定することができます。
- 公式
Blenderの関係者により提供されるアドオンです。
上記2の「3D View: math Vis (Console)」は公式アドオンです。 - コミュニティ
Blender以外の第三者により提供されるアドオンです。
上記3の「3D View: Precision Drawing Tools (PDT)」はコミュニティアドオンです。 - テスト中
内蔵されているアドオンでテスト中のものはありませんが、場合によってはこのカテゴリに属するアドオンがある場合があり、その場合は専用のカテゴリとして表示されます。 - 警告
警告は専用のカテゴリではありませんが、上記4の「3D View: VR Scene Inspection」のように何らかの警告がある場合は専用のアイコンが表示されます。
このアドオンの場合はこれは開発版であり、プレビューリリースであることが示されています。
内蔵されているアドオン
3D View
主に3D表示に関するアドオンです。
- 3D Navigation
サイドバーに表示をコントロールするためのボタンを追加します。 - Math Vis (Console)
数式を元に図形を生成するための機能を追加します。 - MeasureIt
表示中のオブジェクトの長さや面積、角度などの表示を行います。
尚、同様の機能はBlender本体も内蔵されています。 - Precision Drawing Tools (PDT)
精度の高いモデリングを行いたいときに使用できる機能です。
CAD的な数値をもとにしたモデリングを行いたいときに使用できる機能が搭載されています。 - Stored Views
複数のビューを保存し、ボタンで切り替えるようにするための機能です。 - VR Scene Inspection
VRゴーグル(HMD)を使用して、シーンを見たり、簡単な編集を行ったりできる機能です。
別途対応するVR機器が必要です。
Add Curve
曲線パターンを追加したり、曲線を使用することで生成できる図形などを含みます。
- Assign Shape Keys
曲線に対して、他の曲線を定義することでモーフィングなどを行ったりすることができる機能を追加します。 - BTracer
Cinema 4Dに搭載されている、C4D Tracerに似たようなカーブに追随するような動きを付けるための機能を追加します。 - Curve Tools
Cinema 4Dに似たようなカーブを追加したり、変更するための機能を追加します。 - Extra Objects
複数の曲線のオブジェクトを追加します。 - IvyGen
ツタのようなオブジェクトを生成できる機能を追加します。 - Sapling Tree Gen
木をプリセットを元に生成したり、または新しく作成できる機能を追加します。 - Simply Curves+
カーブをシンプル化するための機能を追加します。
Add Mesh
メッシュの種類を追加するためのものです。
- A.N.T. Landscape
乱数ノイズを元に地形に適したオブジェクトを作成する機能を追加します。 - Archmesh
建築物をモデリングするのに特化した機能を追加するアドオンです。 - BoltFactory
ネジやナットなどを作る機能を追加します。
頭の形や溝の数なども設定できます。 - Discombobulator
SFの世界にあるような表現をオブジェクトの表面に付ける機能を追加します。 - Extra Objects
宝石やハニカム形状など、多数のオブジェクト形状を追加します。 - Geodesic Domes
多数の種類の測地線に基づくドーム形状を作成できる機能を追加します。
Animation
アニメーション作成に関するものです。
- AnimAll
頂点や表面などのアニメーションを作成するのを支援する機能を追加します。 - Bone Selection Sets
ボーンのセレクションセットの作成、編集機能を追加します。
セレクションセットはアニメーション編集を容易にするために複数のボーンを整理するために使用できる機能です。 - Copy Global Transform
グローバルの変形をコピーし、他のオブジェクトにペーストすることができる機能を追加します。 - Corrective Shape Keys
編集を行ったモデルに対してシェープキーの調整を行う機能を追加します。 - Pose Library
デフォルトで有効になっているアドオンです。
モデルのポーズを保存し、読み込んだりできる機能を追加します。 - Turnaround Camera
オブジェクトの周りの回転するカメラなど、モデル全体を表示するようなアニメーションを簡単にカメラに付ける機能を追加します。
Camera
カメラの設定を行うものです。
- Add Camera Rigs
3Dビューからカメラを操作できるリグを設定できる機能を追加します。
Development
主にBlenderやBlenderを使用したPythonの開発に使用するものです。
- Dependency Graph Debug
依存グラフをデバッグするための機能を追加します。 - Edit Operator Source
Blenderのオペレーター名からソースコードを表示する機能を追加します。 - Icon Viewer
Blenderで使用されているアイコンを一覧表示し、その名称をコピーする機能を追加します。 - Is Key Free
Blenderでホットキーが使用されているかを確認する機能を追加します。
Import-Export
様々な形式での入出力をするためのものです。
フォーマットによって入力のみ、出力のみ、両方の対応があります。
- 3D Coat Applink
スカルプトソフトである3DCoatとのデータのやり取りをする機能を追加します。 - Atomic Blender PDB/XYZ
分子構造などのモデリングに使用されるフォーマットPDB/XYZの読み込み機能を追加します。 - BioVision Motion Capture (BVH) format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
このアドオンはモーションキャプチャーで一般的なBVHフォーマットの読み込みに対応します。 - Export Autocad DXF Format (.dxf)
AutoCADで使用されているDXFフォーマットでの出力機能を追加します。 - Export Camera Animation
カメラやマーカーを.py形式で出力する機能を追加します。 - Export Paper Model
オブジェクトを印刷するとペーパークラフトを作成できるような画像として出力できます。 - Export Pointcache Format(.pc2)
頂点情報により構成されるPointcacheフォーマットを出力する機能を追加します。 - FBX format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
Unityなどのファイル交換など広く使われている形式です。 - Import Brushset
テクスチャ画像をブラシとして入力する機能を追加します。 - Import Images as Planes
Blenderが対応する画像を平面に貼り付けた状態でインポートするアドオンです。
縦横比が正しい形でインポートされるので、環境内にポスターのような形で画像を持ち込みたい場合などに便利なアドオンです。 - Import Palettes
KritaやPhotoshopから色パレット情報を読み取る機能を追加します。 - NewTek MOD format
Lightwaveで使用されているフォーマットでの入出力機能を追加します。 - Nuke Animation Format (.chan)
映像編集アプリケーションであるNukeに対応したカメラの情報を入出力する機能を追加します。 - STL format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
主にCADや3Dプリンターなどで広く使用されるSTLフォーマットの入出力機能を追加します。 - Scalable Vector Graphics (SVG) 1.1 format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
広く使われているベクタ画像の形式で、曲線の形で読み込むことができます。 - Stanford PLY format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
主に3Dスキャナーで使用されるフォーマットでの入出力機能を追加します。 - UV Layout
デフォルトで有効になっているアドオンです。
外部エディタで編集することができるようにするためのUV展開画像を入出力する機能を追加します。 - Wavefront OBJ format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
プラットフォームによってこの形式に対応していることがあり、その場合、交換フォーマットとして使用されることの多い形式です。
入出力機能が追加されます。 - Web3D X3D/VRML2 format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
ブラウザ上で3Dを表示するための形式で、X3Dの入出力、WRL(VRMLファイル)の入力に対応しています。 - glTF 2.0 format
デフォルトで有効になっているアドオンです。
3Dモデルファイルの交換で使用されることの多いglTF形式の入出力機能を追加します。
Interface
インターフェースへ機能を追加するためのものです。
- 3D Viewport Pie Menus
3Dビューポートにおいて、パイメニューを使用する機能を追加します。 - Amaranth Toolset
生産性を高めるための便利な機能を追加します。 - Collection Manager
コレクションを管理、操作するためのポップアップ画面などの機能を追加します。 - Copy Attributes Menu
[Ctrl+C]キーの機能性を拡張し、様々な種類のコピー機能を追加します。 - Dynamic Brush Menus
ペイント・スカルプトメニューに作業の効率を向上するための追加機能を追加します。 - Dynamic Context Menu
操作状態に応じた追加のメニューをヘッダーやその他のメニューに追加します。 - Modifier Tools
モディファイヤーを一括適用するなどの機能をメニューに追加します。
Lighting
光源などの設定に使用するものです。
- Dynamic Sky
自然な太陽光などを容易に作る機能を追加します。 - Sun Position
現実世界の太陽の位置をシミュレーションした光源配置を行う機能を追加します。 - Tri-lighting
選択したオブジェクトを中心とした3点光源を設定する機能を追加します。
Material
マテリアルの選択や設定に使用できるものです。
- Material Library
保存し、プロジェクトを超えて使用できるマテリアルライブラリの機能を追加します。 - Material Utilities
オブジェクトにマテリアルを簡単に割り当てたりするなどの機能を追加します。
Mesh
メッシュの生成や変形などを行うためのものです。
- 3D Print Toolbox
3Dプリンタでモデルを出力する場合の問題を発見したりするなど、3Dプリンタ用のモデル制作に有用な機能を追加します。 - Auto Mirror
メッシュを切り、そこからミラー化するなどの作業を簡単に行うための機能を追加します。 - Bsurfaces GPL Edition
グリースペンシルを併用してモデリングやリトポロジ作業を行う機能を追加します。 - Edit Mesh Tools
メッシュを編集するための多様な機能を追加します。 - F2
面を作成する[F]キーのショートカットの機能を機能を拡張し、さらに多くのケースで表面を作成できるようにします。 - Inset Straight Skeleton
ポリゴンを分割し、インセットする機能を拡張します。 - LoopTools
ループ状の形状として二つの離れた頂点同士をブリッジするなど、ループに関する機能を追加します。 - Snap_Utilities_Line
カーソルを面や頂点などにスナップし、作業を効率化します。 - Tissue
計算に基づいた形状を生成するなどの機能を追加します。
- tinyCAD Mesh tools
CADによくみられるような接点の接合などの機能を追加します。
Node
ノードのインターフェースに機能を追加するものです。
- Node Arrange
ノードを見やすくするために整理するための機能を追加します。 - Node Presets
ノードが定義されている他のblendファイルを読み込ませることにより、そのファイルに存在しているノードグループを使用できるようにします。 - Node Wrangler
ノード画面を使いやすくするための機能を追加します。
Object
オブジェクトの操作や変更に機能を追加するものです。
- Align Tools
アクティブなオブジェクトに位置合わせなどを行う機能を追加します。 - Bool Tool
マスクなどを定義してブーリアン処理を行う機能を追加します。 - Carver
彫りだしなどの処理を行う機能を追加します。 - Cell Fracture
オブジェクトをランダムな形に分割し、割れたような表現を容易に行える機能を追加します。 - Edit Linked Library
リンクされたオブジェクトを編集する機能を追加します。
通常はリンクされたオブジェクトは編集ができませんが、これはそれを可能にするためのツールです。
- Grease Pencil Tools
グリースペンシルで描画をする際に便利な機能などを追加します。 - Object Color Rules
オブジェクトやワイヤフレーム表示などでの表示色を編集するためのツールです。 - Real Snow
オブジェクトの上部に雪を降らせることのできる機能を追加します。 - Scatter Objects
オブジェクトをちりばめる機能を追加します。 - Skinfy Rig
ボーンからオブジェクトを作成するための機能を追加します。
Paint
ペイントに機能を追加するものです。
- Paint Palettes
ペイントをする際にパレットの設定や出力をする機能を追加します。
Render
レンダリングエンジンなどのサポートを追加するものです。
- Copy Render Settings
複数のセッションで使用できるようにレンダリングの設定をコピーする機能を追加します。 - Cycles Render Engine
デフォルトで有効になっているアドオンです。
Blenderに標準で搭載されているCyclesレンダラを使用できるようにします。 - Freestyle SVG Exporter
Freestyleの出力をSVGファイルとして出力できるようにします。
Freestyleは線画をレンダリングできるようにする機能です。 - POV@Ble
Persistence of Visionレイトレーサーを使用するための機能を追加します。 - UI Animation Render
Blender UIをアニメーションとしてレンダリングします。
Rigging
リギングに関した機能を追加するものです。
- Rigify
オブジェクトを元にリギングを自動化するための機能を追加します。
Sequencer
シーケンサーに機能を追加するものです。
- Power Sequencer
ビデオ編集機能を拡張し、メニュー項目等を追加します。
System
Blender全体に機能を追加するものです。
- Blender ID authentication
Blender Studio(旧Blender Cloud)にログインするための機能を提供するアドオンです。
単体では使用できず、専用のアドオンと併用して使用します。
一部有料の機能があります。 - Demo Mode
複数のBlendファイルを繰り返し再生する機能を追加します。
主に、デモなどの目的でBlendファイルを繰り返し再生したい場合などに使用します。 - Manage UI translations
Blenderやアドオンを翻訳するために便利な機能を追加します。 - Property Chart
オブジェクトのプロパティを編集するのを容易にする機能を追加します。 - Scene Information
シーンのプロパティ項目にBlendファイル内のオブジェクト数などを参照できるパネルを追加します。
UV
UVエディタに機能を追加するものです。
- Magic UV
UVを編集する機能を拡張します。
Video Tools
ビデオエディタに機能を追加するものです。
- Refine tracking solution
モーショントラッキングを行う際に、プロジェクションエラーを加味し、より精度の高いトラッキングを行えるようにします。
追加のアドオンをインストールする
Blenderは追加のアドオンをダウンロードしたり購入したりすることで、さらに多様な機能を追加することができます。
Blender MarketやGumroad、最近ではBOOTHなどで多くの作者がアドオンを公開していたり、またソースコードとしてGitHubなどで公開されています。
STYLYにアップロードする方法
3DモデルをSTYLYにアップロードしてみましょう。
アカウント作成方法
STYLYにアップロードする方法
UnityからSTYLYにアップロードする方法
STYLYに関する質問、バグ報告、改善してほしい要望はSTYLY FORUMまで
https://jp.forum.styly.cc/support/discussions
アドオンを使用することにより、Blenderを自分流にカスタマイズして使用することができます。
まずは内蔵されたアドオンを使用し、使いやすい構成を是非模索してみてください。
Edited by SASAnishiki